【東尾修氏大分析1】武田の高め直球に苦戦…独特カーブを生かす配球

[ 2015年10月25日 11:23 ]

<ソ・ヤ>4回無死、山田は右中間最深部まで打球を飛ばし中飛に倒れる

日本シリーズ第1戦 ソフトバンク4-2ヤクルト

(10月24日 ヤフオクD)
 ソフトバンクが先勝したシリーズ第1戦。スポニチ本紙評論家の東尾修氏(65)は、ソフトバンク・武田が「トリプルスリー」のヤクルト・山田を全4打席でフライアウトに仕留めた投球こそが真骨頂と評した。そこには昨年の日本シリーズ第2戦で阪神打線が翻弄(ほんろう)されたのと同様、高めの直球とともに、これまた高めから切れてくる独特のカーブの軌道がある。

 武田は1メートル86の長身もさることながら、腕の長さが最大の武器。打者にとっては真っすぐもカーブも真上から来る軌道を描くので、ゾーンを設定するのがなかなか難しい。特に昔で言う“ドロップ”のようなカーブは、いくらビデオ映像を見てミーティングしても、打席で実際に肌で感じるタイミングとは大差があると思う。さらに150キロ前後の直球は高めほど威力がある。慣れているパ・リーグの打者でも攻略が難しい投手で、今季の交流戦で対戦がなかったヤクルト打線はなおさらだろう。象徴的だったのがヤクルト・山田の打席。第1、3打席は直球、第2打席はスライダー、第4打席はカーブで全てフライアウト。特に初回の第1打席は2ボールというバッティングカウントで、バットが下から出て力負けしていた。真っすぐもカーブも高めのストライクゾーンいっぱいに来るので、見極めが難しい。結果、差し込まれてしまう。ただ「高めを振るな」という指示を出せば、どうしても消極的になってしまう。それではヤクルト打線の良さが死んでしまうので、何とも難しいところだ。

 武田は8回を終えて99球。レギュラーシーズン中なら完投ペースだが、私は日本シリーズの雰囲気に慣らすためにも4点差があっても9回はサファテだと思っていた。続投は武田の志願だったと聞くが、この辺りは投手出身の(工藤)公康らしい采配だったと思う。

 第2戦のソフトバンク先発はバンデンハークが有力だがこの助っ人右腕も武田と全く同タイプ。1メートル98の長身から投げ下ろす直球とカーブを主軸とする。その意味でも、武田の好投の意味は第1戦だけにとどまらない。

 ▼ヤクルト・杉村打撃コーチ(武田について)初めてでイメージをつかめなかったんじゃないか。角度もある。うまく対応できなかった。

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2015年10月25日のニュース