原巨人“下克上”1勝!坂本、主将の働き逆転2ラン&守備でも

[ 2015年10月15日 05:30 ]

<ヤ・巨>7回2死二、三塁のピンチに川端のライナーを好捕した坂本は気合の雄叫びをあげる

セ・リーグCSファイナルS第1戦 巨人4-1ヤクルト

(10月14日 神宮)
 日本シリーズの出場権を争うセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)が14日、開幕し、セは2位から勝ち上がった巨人がヤクルトを4―1で下した。1点を追う5回に坂本勇人内野手(26)が左翼席に逆転2ラン。リーグ優勝したヤクルトに1勝のアドバンテージがあるため、1勝1敗のタイとした。リーグ4連覇を逃した巨人の主将がバットで勢いづけ、2年ぶりの日本シリーズ進出に向け好発進した。

 敵地・神宮が「勇人コール」に包まれた。三塁ベンチから飛び出してきた坂本はヒーローインタビューが始まると誇らしげに右拳を突き上げた。

 「思い切って甘い球は打ちにいこうと思っていました。久しぶりに気持ちのいい、会心の当たりでした」

 1点を先制された直後の5回1死二塁。3ボール1ストライクから石川の高めに浮いたシンカーを逃さず、強振した。巨人ファンが沸く左翼席へ飛び込む逆転2ラン。2打席目までいずれもシンカーで打ち取られていただけに「簡単に直球でこないと思っていた。頭にあった」と狙い球が的中し、笑みを浮かべた。

 レギュラーシーズンでは打率・269と不振に苦しんだ。CS開幕前には原監督からベンチ裏で2日間、直接指導を受け、スイングの軌道などを修正した。阪神とのCSファーストS(東京ドーム)では10打数2安打と結果を残せなかったが、第3戦では相手の暴投の隙に執念の ヘッドスライディングで本塁へ生還。その代償で首に張りが生じて前日は別メニューで調整し、原監督は「炎のヘッドスライディングの影響」と説明していた。

 体が傷ついても、心は燃えたぎっていた。試合前には「短期決戦は気持ちのこもったプレーが大事」ときっぱり。この日は、ついにバットが火を噴いた。守備でも7回2死二、三塁から川端の遊直を捕球すると、珍しく3度も右手でガッツポーズ。気迫を前面に出したプレーで引っ張った主将は「(首は)大丈夫」と涼しい顔で言った。

 6月14日のロッテ戦(QVCマリン)でサヨナラ負けを喫し、交流戦を7勝11敗の11位で終えると、自らナインを集めた。今季、主将に就任してから初めて選手間ミーティングを開き、熱のこもった言葉で鼓舞した。「負けが続いた時にみんなを元気づける言葉を掛けることが重要」。オフに前主将の阿部から授かった金言。阿部から継承した「主将道」を実践し、チームをまとめ上げた。

 原監督は試合前ミーティングで「我々はシーズンで2位だった。何も恐れることはない!」と呼び掛けた。CSファイナルSを白星発進し、ヤクルトと1勝1敗の五分とした指揮官は「まだ戦いは道半ば」と気を引き締めた。坂本も同じだ。「まだ五分なので気を抜けない。厳しい戦いは続くけど、何とか勝ち上がって日本シリーズにいけるように頑張ります」。頼れる主将が先頭に立ち、下克上を成し遂げる。(青木 貴紀)

 ▼巨人・アンダーソン(6回、代打で右前へ2点適時打)次の1点が大事なのは分かっていたので、どんな形でもチームが得点できるような打撃を心がけた。

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