決戦の大隣だ!7回零封 10・2最終戦&第1戦に続き快投

[ 2014年10月21日 05:30 ]

<ソ・日>中4日で先発の大隣は7回を無失点と好投した

パ・リーグCSファイナルS第6戦  ソフトバンク4―1日本ハム

(10月20日 ヤフオクD)
 歓喜の日のマウンドには、またも大隣がいた。ソフトバンクが優勝したリーグ最終戦「10・2」に続き、この「10・20」でも快投。7回無失点でチームを3年ぶりの日本シリーズに導いた。

 「監督を日本一にしたいし、僕自身も日本一になりたい。その気持ちで一生懸命投げた」

 試合後には重責を全うした左腕だからこそ与えられた「特権」が待っていた。秋山監督がインタビュー途中で「呼びましょか」と最大のヒーローを手招き。異例中の異例ともいえるお立ち台での優勝監督とのツーショットが実現。指揮官の横に並んだ大隣の目は少し潤んでいた。

 国指定の難病である黄色じん帯骨化症から復帰した今季。「今までは普通にマウンドに上がって投げていたが、違ううれしさを感じた」という。投球時にしびれを感じたのは昨年4月。医師の「今やれば3カ月で投げられる」という言葉を信じて同年6月、手術に踏み切った。翌日からリハビリを始め、今年7月、ついに1軍マウンドに帰ってきた。

 その中で122球を投じた第1戦から中4日。復帰当初は中10日以上空けての起用を思えば、「無謀」とも言える登板だった。そのため、秋山監督も試合中に数回、状態を確認。そのたびに「まだいけます」と答え、7回までマウンドを守った。

 手術を経験した左腕は、精神的に成長した。「ピンチになったり、点を取られても揺らぐことはない。波が小さくなったかな」。この日も毎回のように走者を背負ったが慌てることはなく「また一つ、違う自分を出せた」と納得の表情だった。

 復帰までの長い道のりを見守ってきた斉藤学3軍リハビリ担当兼ファーム巡回コーチは言った。「人間が変わったように練習していた。今までは、どちらかというと素質に甘えていた部分もあったけど。これからは“勝てる投手”になるんじゃないかな」。その言葉は、現実のものとなった。

 7回2死一塁。西川を135キロの外角直球で見逃し三振に仕留め、最後の仕事を終えると、ベンチで指揮官に背中をポンと叩かれ、ねぎらわれた。「成長させていただいた。日本一になって監督を送り出せるよう頑張りたい」。さよならを言うのはまだ早い。思いを込めた99球だった。

続きを表示

この記事のフォト

2014年10月21日のニュース