秋山監督 日本一で花道へ ソフト王者の意地でシリーズ進出

[ 2014年10月21日 05:30 ]

<ソ・日>日本シリーズ進出を果たし胴上げされる秋山監督

パ・リーグCSファイナルS第6戦  ソフトバンク4―1日本ハム

(10月20日 ヤフオクD)
 さよならはまだ言わない――。パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは20日、最終戦となる第6戦が行われ、ソフトバンクがレギュラーシーズン3位から勝ち上がった日本ハムに4―1で完勝。リーグ優勝による1勝のアドバンテージを含め4勝3敗とし、3年ぶり15度目の日本シリーズ出場を決めた。今季限りでの辞任を表明している秋山幸二監督(52)は25日に開幕する阪神との日本シリーズでも指揮を執り、日本一で有終の美を飾る。

 またも最後の最後で底力を見せた。ただ、秋山監督は運命の「10・2」を制した時のように号泣はしなかった。穏やかな表情で、ナインにその身を任せた。リーグ優勝した2日より1回多い8度、宙を舞った。

 「レギュラーシーズンを144試合目の最後で決め、CSも6試合目で決まり、本当にきついシーズンだなと思う。日本一を獲るぞという強い気持ち、全員の気持ちでやっていた」

 今シリーズ。指揮官自らも「目いっぱいやな…。胃が痛いばい」と漏らすほどの接戦続きだった。第1戦で逆転サヨナラ勝ちし、アドバンテージを含めて2勝分リード。勢いに乗るはずが、守備のミスが目立った第2、3戦を落とした。日本シリーズ進出を目前とした第5戦は、自慢の救援陣が崩壊した。

 それでも簡単には屈しない。普段、温厚で淡泊な印象さえ受ける秋山監督も燃えた。0―0の3回1死一塁。柳田のライナー性の打球は中堅・陽岱鋼(ヨウダイカン)が、地面すれすれで捕球したと判定され、一瞬にしてダブルプレー。ベンチを飛び出した秋山監督は猛然と審判団へ詰め寄った。遅延行為で退場宣告される規定の5分は迫る。自身最後のタクトとなる可能性もある試合。だが、引かない。今まで見せたことのない姿だった。

 6年間でチームを3度のリーグ優勝に導いた指揮官の、今季限りでの辞任が表面化したのは今月14日。CSファイナルS前日とあって、球団は当初、発表を控えるよう提案した。だが、指揮官は「しようがない。こうなってしまったんだ。発表しよう。俺はいいけど選手たちはどうだ。毎日、毎日“どうなんですか”と聞かれる。選手にウソはつかせられないよ」と拒絶。記者会見を開いた。

 昨年10月21日に肺カルチノイドで死去した笠井和彦前球団社長兼オーナー代行(享年76)の命日を翌日に控えたこの日、日本シリーズ進出を決めた。職を引き継いだ後藤芳光球団社長兼オーナー代行と孫正義オーナーが21日に墓参りに行く予定だった。秋山監督にとっても、故人は現場のことを理解し、補強を含めてバックアップを惜しまなかった恩人。「今でも監督室へ入ってくる気がするんだよ」。一周忌を前に最高の報告ができた。

 「今年はメジャーでも下位(ワイルドカード)が勝ち抜いた。セ・リーグもそう。パだけは何とかリーグ優勝のチームが行きたいと思った」。秋山監督はリーグ覇者としての強烈なプライドを口にした。本拠地開催のCSではここまで空席が目立ったが、最終戦にして観衆は初の満員3万8561人に達した。

 「これからもうひと山ある。打倒阪神で、日本一を目指して頑張っていきたい」。花道は日本シリーズの舞台へと続く。

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