前日頭部死球も何の!上本 同点呼ぶ“ノーサイン”盗塁

[ 2014年10月18日 05:30 ]

<巨・神>6回1死一塁、ゴメスの時、一走・上本は二盗を決める

セ・リーグCSファイナルS第3戦 阪神4-2巨人

(10月17日 東京D)
 アクシデントを乗り越え、阪神・上本がグラウンドで輝きを放った。マルチ安打、そして勝負を左右する二盗。3連勝の助演男優賞は間違いなく、背番号4だ。

 「(死球の影響は)ない。(怖さとか)考えなかった。考えると余計に考えてしまうから」

 一心不乱―。上本の真骨頂が試合後のコメントに凝縮される。前日16日の5回、沢村から頭部に死球を受けた。普通なら、恐怖感は残る。それでも試合前には珍しく笑顔をみせ、こう話した。「(頭は)大丈夫ですよ」。その言葉で、自分自身を奮い立たせた。

 無心で、結果を出した。まずは4回先頭打者で、チーム初安打となる右前打。2点を追う6回無死からも再び右前打を放った。圧巻は1死からの走塁。ゴメスへの2球目だ。先発した杉内が見せた一瞬のスキを突いて二塁にスタートを切った。

 「いいスタートだった。盗んでくれた。(盗塁で)流れが来た」

 和田監督の言葉からも、ノーサインだったことは明らかだ。自らの判断で二盗を敢行。反撃への突破口を自慢の足で開いた。ゴメスの左前適時打が生まれたのは、その直後だ。試合前に見せていたスマイルは、もうどこにもない。獲物を狙う眼光は前夜以上に鋭さを増していた。

 「盗塁は紙一重。成功したからって、どうこうない。ゴメスが打ってくれたことが大きかった」

 前日死球で倒れた後、上本を気遣う周囲を押し切り、強行出場。最後はベンチに退いたが勝利を見届け、病院へ直行した。大事に至らず、第3戦も自分の役目を十二分に果たした。戦場に立つと凄まじい闘争心で敵に襲いかかる「小さな鉄人」が和田阪神にはいる。

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2014年10月18日のニュース