頭部大流血から3日…広島・田中“ド根性”最短29日復帰へ

[ 2014年9月23日 05:30 ]

マツダスタジアムに経過報告に訪れた広島・田中

 19日の試合前練習中にフリー打撃の打球を頭部に受け、前頭部挫創(ざそう)で出場選手登録を抹消された広島・田中広輔内野手(25)が22日、マツダスタジアムで球団に経過報告をした。23日から3軍で練習を再開し、26日に抜糸の予定。内野陣を引き締めるドラフト3位ルーキーは最短となる29日の1軍復帰へ、強い意欲を見せた。

 痛々しい患部とは対照的に、田中の表情は晴れ渡っていた。

 「大丈夫です。最短(での復帰)のつもりでやっています」

 アクシデントから3日後。今や内野の一角に欠かせないドラフト3位ルーキーは、最短で再登録が可能になる29日の戦線復帰を思い描いた。

 大事故だった。19日DeNA戦(マツダ)の試合前練習中、フリー打撃の打球を頭部に受け、激しく流血。救急車で広島市内の病院に運ばれ、患部を14針縫合した。状態が心配されたが検査の結果、脳や骨に異常はないことが判明。出場選手登録は抹消され、ここ2日間は大事を取って静養に充てていた。

 自身にとって「野球人生で一番の大きなケガ」にも心は折れなかった。担架で運ばれる途中、登録抹消の事実を伝え聞くと、血まみれの顔面を抑えながら「何で抹消なんですか!」と聞き返した。場所が頭部だけに、野村監督は早期1軍復帰に慎重な姿勢を示す。それでも田中は、この日の経過報告でトレーナーを通じ、球団に「問題なし」を猛アピール。戦列復帰へ必死だ。

 8月以降、遊撃のレギュラーに定着し、17日まで106試合に出場。打率・299、33打点と下位打線での得点源となっている。シュアな打撃だけではない。長打力も田中の魅力の一つだ。現在9本塁打で、広島では84年に小早川毅彦が記録した16本塁打以来、30年ぶりとなる新人の2桁本塁打にリーチ。だが数字にはこだわりはない。

 「ホームランはヒットの延長線上。タイミングが合えば、打てると思います」

 納得のいくスイングを重ね、その結果が本塁打になればいい。新人らしからぬ冷静さで、打席に立つ。

 チームは23日から9連戦を戦う。最短29日の復帰なら、その7戦目から出場できる。「早く戻ってチームに貢献したい」。闘争心おう盛な新人は、はやる気持ちを抑え、まずは3軍で復帰への調整を進める。

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2014年9月23日のニュース