22年ぶり「同率」対決は広島先勝で単独首位 3連勝再現だ!

[ 2014年4月9日 05:30 ]

<巨・広>5回2死三塁、長野を三振に斬り、吠える野村

セ・リーグ 広島4-1巨人

(4月8日 東京D)
 広島は8日、1992年4月以来となった巨人との同率首位対決に先勝し、単独首位に浮上した。先発の野村祐輔投手(24)が6回を6安打1失点と試合をつくり、プロ3年目で巨人戦初勝利。7回は巨人にフリーエージェント(FA)移籍した大竹の人的補償として入団した一岡竜司投手(23)が抑え、早くも4ホールド目を挙げた。野村謙二郎監督(47)が3番を打っていた22年前は広島が3連勝。狙うはその再現だ。

 チームを単独首位に押し上げたのは、年齢は違えどプロ3年目の若き投手だった。

 「昨年、ここで2度(リーグ優勝とCSファイナルS)胴上げを見ている。今年こそはと思っていた」

 そう振り返ったのは巨人戦初勝利を挙げた先発の野村だった。度重なるピンチを粘りの投球でしのぎ切り、6回を1失点。「速球はいまいちだったが、(新球の)シュートが要所でうまく使えた」と新境地の開拓に手応えを示した。

 昨季までは「打たれたら、ぼこぼこいかれることが多かった」と言うが、今季はひと味違う。5回に坂本と橋本の連打で1点を返されたが、1死三塁から代打の矢野、長野をともにチェンジアップで空振り三振に封じた。シュートで内角を意識させ、最後は得意球で仕留める狙い通りの組み立てだった。

 1年目に9勝、2年目は12勝を挙げたが、エース前田健に隠れた存在だった。24歳で迎えた今季は「マエケン(前田健)さんを追い抜く気持ちでやる。甘えをなくしたい」と繰り返す。私生活でも「居心地がいい」と気に入っていた寮を出て、3月から一人暮らしを開始し「一人でできることはやらないといけない」と笑う。

 そして、「恩返しの19球」となったのが、巨人へFA移籍した大竹の人的補償として入団した23歳の一岡だった。1点リードの7回、野村の後を受けて2番手で登板し、古巣の巨人打線を3者凡退に抑えた。坂本、橋本から連続三振を奪う上々の内容に「難しい場面だったので緊張しました。点を与えないように強い気持ちで腕を振った」。これで開幕から5試合連続無失点だ。

 昨季まで13試合の登板しかなかったが、移籍1年目でいきなり永川勝、ミコライオとの「勝利の方程式」の一角に食い込んだ。試合前、巨人・原監督にあいさつすると「巨人のユニホームも似合っていたが、広島のユニホームも似合っているぞ」と激励され、さらには「役割(セットアッパー)を守るんじゃなく、上っていかないとダメだよ」と言われたという。

 帽子のツバに記された言葉がある。「恥をかけ」――。自身がファンである広島出身のアーティスト、CHEMISTRYの堂珍嘉邦(35)から 書いてもらった。その言葉を胸に、打たれることは恐れない。

 就任5年目、今季に勝負を懸ける野村監督は「きょうはいい戦いをした。あすも笑顔になれるような戦いをしたい」と締めた。5月を待たずに、鯉の季節はやってきた。

 ≪22年前の同率首位対決≫ 92年4月14日から同率首位の巨人と広島が直接対決。初戦はともに13安打、2本塁打の乱戦も、9回に野村(現監督)が決勝打を放ち広島が先勝。2戦目は広島のエース北別府が6安打完封。3戦目は広島が6回に3点差を追いつくと、8回にブラウンの左前打で勝ち越し。最後は抑えの大野が締めて3連勝を飾った。結果、広島は首位をキープ、巨人は4位に転落したが、最終的に巨人が2位、広島は4位だった。

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2014年4月9日のニュース