広島・一岡が完璧救援 「巨人時代になかった高揚感」

[ 2014年4月9日 07:59 ]

<巨・広>巨人を破り、一岡(右)とハイタッチで喜び合う野村監督

セ・リーグ 広島4-1巨人

(4月8日 東京D)
 広島の勝利の方程式を担う一岡竜司投手(23)がチームの単独首位浮上にひと役買った。92年以来22年ぶりに実現した巨人との同率首位対決3連戦。8日の第1ラウンド、1点差の7回に2番手として登板した右腕は、1イニングを打者3人でピシャリと抑え、今季4個目のホールドを古巣から挙げた。6回1失点の先発・野村がG戦初勝利と今季2勝目をマークした。

 勝利の喜びに沸くベンチ裏。はにかみつつインタビューに答える一岡の姿が初々しかった。「難しい場面だったので、緊張した。でも、巨人に点を与えないように、強い気持ちで投げました」。のぞいた白い歯に充実感がにじんでいた。

 野村監督をして「一岡が流れをしっかり断ち切ってくれた」と言わしめた力投は、2―1の7回だ。入団時から憧れの場所だった東京ドームで、古巣・巨人の強力打線の前に立ちはだかった。

 先発・野村がともに2安打された坂本、橋本との対戦。坂本を7球目の142キロ直球で内懐を突いて見逃し三振させると、橋本は3―2からの132キロ外角フォークで空振り三振に仕留めた。最後の実松もフォークで三ゴロ。最速145キロ、恩返しの19球だった。

 「坂本さんは腕を振って投げた結果。橋本? イタルだなぁ…と」。仲の良い同学年の左打者についての質問に笑って答えた右腕。「気持ちが入り過ぎて、引っ掛ける直球があった。そこは反省点」。足もとを見つめることも忘れなかった。

 帽子のツバに書かれた言葉を胸に刻む。「恥をかけ」。降雨ノーゲームとなった3日のDeNA戦(マツダ)で、始球式を務めた広島出身のアーティスト・堂珍嘉邦(35)から贈られた言葉。CHEMISTRYファンの一岡が頭を下げて書いてもらったものだ。

 「堂珍さんがデビュー当時、“若いうちに恥をかいておけ”と教えられた言葉だそうです。将来のためになるから…と」

 巨人へFA移籍した大竹の人的補償として入団。人見知りで引っ込み思案だった性格は、努めて積極的に声を掛けることによって新天地で変わった。「巨人時代になかった高揚感がある。もう大丈夫です」。帽子の金言も、その産物と言える。

 試合前には巨人・原監督から「役割(セットアッパー)を守るんじゃなく、上っていかないとダメだよ」と激励された。「恥をかけ」を胸に刻む右腕に「守る」という意識は毛頭ない。開幕前、野村監督は声高に打倒巨人を掲げ、昨季に落とし続けた接戦の克服をポイントに挙げていた。一岡という新しい名前が、夢への構想を現実に変える。

続きを表示

2014年4月9日のニュース