一度は引退を決意も…尚成「とことんまでやってみたい」

[ 2014年3月6日 10:37 ]

登録名を変えて15年目のシーズンに臨む尚成

 巨人時代では考えられない光景だった。宜野湾キャンプ中に行われた2月27日の練習試合、韓国・ネクセン戦。移籍後初実戦登板のDeNA・尚成は1回4失点で降板。だが1時間後の会見では常に「笑い」があった。

 キャンプに招待選手で参加し、相手打者で痛打を浴びたWBC韓国代表の姜正浩(カン・ジョンホ)と肩を組みながら登場すると「おまえに打たれたから、こんなことしている場合じゃないな!」とおどけてみせた。

 ロッキーズを自由契約になった昨オフは現役引退も考えた。弱気だった気持ちを燃えたぎらせたのは、DeNAの熱意だった。駒大、巨人の先輩でもある中畑監督から「おまえの力が凄く必要なチーム。力を貸してくれ」とラブコールを送られれば、男になるしかない。「しびれた。この人のために役立ちたいと思った」

 巨人では主力投手としてリーグ優勝5度、日本一3度に貢献。今も同学年の親友の活躍が大きな励みだ。上原は昨年レッドソックスの守護神として世界一に貢献。高橋由も勝負強い打撃で巨人を支える。「由伸とは(昨年)12月にゴルフをして、“お互い頑張ろうな”と話した。上原も僕が(DeNAに)決まって電話で話した時に“良かったね”って言ってくれた」と目を輝かせる。

 2回目の登板となった4日のオリックス戦(京セラドーム)。チェンジアップを解禁し、3回1安打1失点と結果を出した。「1回辞めようと思ったのが自分の強みではないかと思う。とことんまでやってみたいという気持ちにさせてくれたのが横浜。あすはない気持ちで一日一日やらないといけない」。登録名を「尚成」に変えて臨む15年目のシーズン。崖っ縁からはい上がった男には怖いもの知らずの度胸が備わっている。

 ◆尚成(ひさのり=高橋尚成)1975年(昭50)4月2日、東京都生まれの38歳。修徳―駒大―東芝を経て99年ドラフト1位で巨人に入団。1年目から9勝と先発の軸になり、07年に最優秀防御率を受賞した。09年オフに海外FA権を行使し、10年にメッツで10勝をマーク。メジャー4年間で通算168試合登板と主に救援で活躍した。日米通算93勝。左投げ左打ち。

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2014年3月6日のニュース