ダル 練習参加の世界一QBに学ぶ「いろいろ聞いてみたい」

[ 2014年3月5日 05:30 ]

アメフトのボールを使って気分転換することもあるダルビッシュ

 世界一QBに学び、世界一を追う。ダルビッシュ有投手(28)が所属するレンジャーズのキャンプに3日(日本時間4日)、NFLのスーパーボウルを制したシーホークスのスターQBラッセル・ウィルソン(25)が参加した。同じベンチでオープン戦を観戦するなど刺激を受けた様子のダルビッシュは、オープン戦2試合目の登板となる4日のエンゼルス戦(同5日午前4時5分開始)に先発する。

 1日限りの背番号3と背番号11が、ガッチリと握手を交わした。練習開始前。スタッフを通じてウィルソンを紹介されたダルビッシュは、ただ者ではない気配を察した。

 「やはり、体が凄いなと思いましたね。もともと野球選手の体ではないんでしょうけど」

 身長1メートル80はダルビッシュより16センチも低く、NFLでも小柄な部類。ドラフト前にはその身長が不安要素にも挙げられていた。だが体重93キロの体はゴムマリのようにしなやかで、力強く盛り上がっていた。オフェンスを率いるQBとして、12年のデビューからわずか2年で全米の頂点まで駆け上がったシンデレラボーイ。一方で10、11年の2年間はロッキーズ傘下マイナーで二塁手としてプレーしていた。昨年12月にルール5ドラフトでレ軍から指名されたことで実現した、マイナー契約での1日限りの練習参加。2人は同じフィールドで汗を流した。

 その後のジョン・ダニエルズGMら関係者を交えた食事会を前に「僕も行くのでいろいろと話を聞きたいなと思います。肩のトレーニングとか、そういう部分を聞いてみたい」とダルビッシュ。探求心と向上心の強さは変わらず。これまでもゴルファーと自主トレを行うなど、違う競技のアスリートとも交流し参考になる部分は吸収してきた。

 実際に、野球とアメフトの共通点は多く、二足のわらじを履いたプロ選手もいる。ダルビッシュも気分転換を兼ね、シーズン中の練習では時折アメフトのボールを投げている。スライダーのリリースにも応用でき、メジャー通算355勝のグレグ・マダックスGM補佐も、現役時代は器用に楕円(だえん)形のボールを投げていた。

 ロン・ワシントン監督は「彼は特別な選手。勝利に対する姿勢を若い選手は特に見習ってもらいたい」と選手への好影響を期待した。もちろん、ダルビッシュにも大きく響いた。4日(日本時間5日)にはオープン戦2試合目の登板となるエンゼルス戦に、3イニング50球をメドに先発する。世界一を目指す3年目。最高の刺激を得て出陣する。

 ▽ルール5ドラフト マイナーに埋もれた人材を再発掘する制度。毎年ウインターミーティング最終日に行われる。各球団でメジャー40人枠から外れ、大学出は3年以上、高校出は4年以上経過したマイナー選手が対象。メジャー枠とマイナー枠指名に分かれ、ウィルソンはマイナー枠で指名された。

 ▽MLBとNFLで活躍した主な選手 ボー・ジャクソン=写真(左)、AP=は、ロイヤルズなどで外野手としてプレーする一方、オフシーズンはレイダースのランニングバックとして活躍。初めてMLB、NFLの両方で球宴に出場した選手となった。メジャー通算694試合141本塁打、415打点、打率.250。また、ディオン・サンダース=同(右)、AP=はNFL優先でプレー。大リーグ・ブレーブスなどで外野手として試合に出場しながら、9月以降はNFLファルコンズのコーナーバックとしても活躍した。89年には同一週にタッチダウンと本塁打を記録。スーパーボウルとワールドシリーズに出場した最初の選手にもなった。メジャー通算641試合39本塁打、168打点、打率.263。

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