松井裕 バズーカだ 正捕手・嶋うならせた35球「重みがあった」

[ 2014年2月2日 05:30 ]

ノックのボールを追う松井裕

 楽天の星野監督、侍ジャパンの小久保監督、さらに、100人以上の報道陣の視線を一身に浴びた。「とにかく腕を振る」。ドラフト1位の楽天・松井裕(桐光学園)は、心に決めていたことを実践した。

 「体が気温に慣れていないと感じたので、力を入れないで投げようと思ったけど、力んでしまった。直球もそんなに良くなかったけど、これから上がっていけばいい」

 2日前まで雪が降る仙台にいたが、久米島は気温24度。さらに高卒ながら新人でただ一人の1軍スタートでもあり、朝から緊張感を漂わせていた。それでも、ブルペンに入ると「スイッチ」が入った。落ち着いた表情で嶋を立たせて12球。最後の一球はすっぽ抜けて大暴投となったが、嶋から「座るか」と問われ「お願いします」と即答した。直後に暴投のショックを少しも見せず、外角低めにストライク投球。正捕手を「ズドンという重みがあった。凄い球」とうならせた。投手陣で最後のブルペン入りでマウンドの土が荒れていたこともあり、35球中でストライクは14球だったが、18歳は思い切り腕を振った。

 球の勢いは見る者に伝わった。星野監督は「投げっぷりがいい。腕を振りすぎて(故障が)怖いぐらい」と絶賛。投球後、「無理せず、自分のペースを守れ」と助言を送った。松井裕は高校2年夏、甲子園で大会最多の22奪三振を記録。嶋は「理由が少しだけ分かった。高卒新人に期待しすぎてはダメだけど、期待します」と言った。ヤンキースに移籍したエース田中の抜けた穴を埋めなければならず、その田中が07年に新人で11勝を挙げた再現を思い描く。

 課題もある。佐藤投手コーチは投球後に体が三塁方向に流れる点を挙げて「上半身や腕力が強いから、普通に投げられているけど、バランスが悪いフォームは故障につながる」と指摘。ただ、「腕の振り」という武器を失わないよう、早急に修正はしない方針だ。

 「緊張もあって本当に疲れた。初日は40点ぐらい」と松井裕。プロ野球で背番号と同じ「1番」を目指す。18歳は怪物と呼ばれた片りんを見せた。

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