「参考にしたのは松坂さん」西武ドラ3右腕 弓なり投法披露

[ 2014年2月2日 06:46 ]

西武の偉大な先輩である松坂のように胸を張るフォームの豊田

 「弓なり投法」の原点は、松坂だった。西武のドラフト3位・豊田拓矢投手(26=TDK)がブルペン入りし、胸を大きく張った投球フォームを披露した。OBでかつてのエース・松坂大輔投手(33=メッツ)を参考にし、弓矢と同じ原理を利用して球威を与える。社会人出身の即戦力右腕が、キャンプ初日から力強い投球で開幕1軍入りをアピールした。

 キャンプ初日のブルペン。26歳のオールドルーキーの躍動感は飛び抜けていた。捕手を座らせて40球。そのフォームは他のどの投手よりも、明らかに胸を張っていた。言うなれば、弓なりだ。思い出すのは球団OBの松坂。豊田本人のイメージもそのままだった。

 「胸を張ることで腕の振りが大きくなる。参考にしたのは松坂さん。背筋で放っている投手。(投球時に)足を着いてから胸の張りがめちゃくちゃ凄い」。胸を張った分だけ、テークバックは後ろになる。そこから腕を振るため、必然的に球を放すまでの距離は長くなる。胸を張らないオーソドックスなフォームの投手は直線距離で80センチ程と言われるが、豊田は1メートルもある。弓を引いた時、80センチ引くのと1メートル引くのとでは、矢の威力が違うのは言うまでもない。松坂は1メートル10センチもある。豊田は弓矢と同じ原理で、球に威力を与えている。

 「投げる時に一番意識するのは胸。背中の筋肉は泳いで鍛えてきた」。胸を張って投げるためには背筋力の強さが必要となる。社会人時代はほぼ毎日、1時間の水泳練習。背筋力は松坂の200キロに迫る180キロだ。最速152キロを誇る上、視察した前監督の渡辺久信シニアディレクター(SD)は「球質もいいし、球が重そうという印象がある」と評価した。

 球の威力だけではない。豊田は、その効果を「腕の振り幅が大きくなれば、打者は(球が)来ないという感覚になる」と説明する。「1、2、3」で投げるのではなく、「1、2の3」で投げる。この「の」が球持ちを良くし、打者のタイミングを外すというわけだ。

 豊田は小学6年時、横浜高のエースとして甲子園で春夏連覇した松坂の姿に憧れた。「(松坂の投球フォームは)完全に焼き付いている。小さい時からずっと見ているから」。松坂の「背中」ではなく、「胸」を見て育った豊田。名前は「拓矢」。偶然にも、矢を射るようなフォームが売り物だ。

 ◆豊田 拓矢(とよだ・たくや)1987年(昭62)3月28日、埼玉県生まれの26歳。小学5年から小作田ベイスターズで野球を始める。浦和学院では1年夏からベンチ入りし、甲子園に2度出場。上武大では4年時に全日本大学野球選手権出場。TDKでは1年目から都市対抗野球、日本選手権大会に登板した。1メートル76、85キロ。右投げ右打ち。

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