松井裕は1軍スタート!被災地に誓い マー君と同じエース道

[ 2014年1月22日 05:30 ]

名取市の閖上中学校を訪れ屋上から津波で被災した地域を背に思いを語る松井裕

 歩め、マー君と同じ道――。楽天は21日、仙台市内でスタッフ会議を開き、ドラフト1位・松井裕樹投手(18=桐光学園)の春季キャンプ1軍スタートを決定した。今年の新人9選手で唯一、さらに球団の高卒新人では07年の田中以来、2人目の1軍スタートとなる。キャンプは2月1日から13日まで沖縄・久米島で行う。14日に沖縄本島に移動し、オープン戦などで実戦を積む予定。

 怪物左腕に、大リーグ移籍を目前にする偉大な先輩と同じ道が用意された。スタッフ会議後、仙台市内の犬鷲寮でキャンプ1軍スタートの報を受けた松井裕は「まだまだ力は及びませんが、期待に応えられるよう頑張ります」と謙虚な言葉の中にも決意をにじませた。

 新人9選手で1軍スタートは松井裕だけ。即戦力で入団した浜矢(Honda鈴鹿)ら社会人、大学生を差し置いての抜てきだ。星野監督は「投げっぷりが俺好み。マウンドで大きく見える。(開幕投手の)選択肢に入ってる」とあらためて高く評価した。また、「無理はさせない。ブレーキはかける」と配慮する一方で、「あるところでは尻を叩く」とし、松井裕がキャンプインの2月1日にブルペン入りの希望を持っていることを伝え聞くと「好きにせえ」と突き放した言葉と裏腹に笑みを浮かべた。

 コボスタ宮城の室内練習場で行われている新人合同自主トレ。18、19日は2日連続でブルペン投球を行うなど調整は順調で、両日とも視察した酒井2軍チーフ投手コーチは「指にかかると恐ろしい球を投げる」と絶賛している。

 高卒新人のキャンプ1軍スタートは、楽天では07年の田中までさかのぼる。その田中も2月1日にブルペン入り。9日にフリー打撃に初登板し、15日の紅白戦で実戦デビューを果たした。今キャンプの最初の紅白戦は2月9日に予定されており、調整次第では田中を上回るペースで「プロ初登板」を果たす可能性もある。

 松井裕はこの日、東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた宮城県名取市の旧閖上(ゆりあげ)中学校に足を運び、壁の大きな亀裂や割れたままの窓ガラスなど、被災直後の姿を残す校舎内を歩いた。屋上からは辺りを一望。いまだに復興が進んでいない状況も目の当たりにし、「被害の大きさをあらためて知ったし、ここで亡くなった中学3年生は自分と同級生。昨年の(楽天の)優勝で元気づけられた人も多いと思うので、自分も東北の皆さんに喜んでもらえるようにいいプレーを見せたい」と誓いを新たにした。

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