マー君 CSも締めた!1勝1S堂々MVP、中3日1回無失点

[ 2013年10月22日 06:00 ]

<楽・ロ>9回に登板し最後を締めた田中

パ・リーグCSファイナルステージ第4戦 楽天8―5ロッテ

(10月21日 Kスタ宮城)
 口を真一文字に結んで控えめに両手でガッツポーズした楽天・田中を、三塁ベンチを飛び出したナインがのみ込んだ。

 「ほっとしました。リーグ優勝は西武ドームだったので、Kスタで(星野監督を)胴上げできたのはうれしい気持ち」

 最後はまた、無敵のエースが締めた。17日の第1戦で120球の完封勝利を挙げてから中3日。右腕は7回からブルペンで肩をつくり始め、9回のマウンドに向かった。投球練習で4球目を投じた際は首をかしげ、右肩を回した。疲労はもちろんある。それでも、スタンドからの絶叫にも似た「田中」コールに、鳥肌が立つとともに勇気付けられた。直球は最速154キロ。2死から根元、代打福浦に連打を許したが、最後は井口をスプリットで三ゴロに仕留めた。

 雨天中止が決まった前日の練習後、この日のブルペン待機を通達された。球団創設9年目で初のリーグ優勝を飾った9月26日の西武戦(西武ドーム)でも1点リードの9回を締めた。24勝0敗1セーブでレギュラーシーズンを終えた絶対エースとして、チームの日本一のために身を犠牲にする覚悟があった。今シリーズでも1勝1セーブ。「正直、僕でいいのかな、という気持ち」と照れたが、MVPに輝いた。

 ついに日本シリーズ進出までたどり着いた。相手は巨人。地元の兵庫県伊丹市で小学校1年で野球を始めた少年にとって、当時は斎藤、槙原、桑田が先発3本柱を形成していた巨人は憧れのチームだった。

 「(巨人は)去年のチャンピオンで、一番強いチームだと思う。僕たちは挑戦者。向かっていく気持ちを、相手より強く持って戦いたい」

 中4日で日本シリーズ第1戦に先発する右腕は、頂点しか見ていない。今季、稲尾和久(西鉄)の開幕20連勝を抜いた田中。ただ、故人が「神様、仏様、稲尾様」と称されて伝説の存在となったのは、58年の巨人との日本シリーズで7試合中6試合に登板して4完投。第5戦では自らサヨナラ本塁打も放ち、チームを0勝3敗から4連勝で日本一に導いたからだ。巨人を倒して日本一。それこそが「田中伝説」のクライマックスともなるべきマウンドだ。

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