代打・安部 延長12回決めた満塁一掃打!

[ 2013年7月3日 06:00 ]

<中・広>延長12回、代打・安部は走者一掃の適時二塁打を放ちナインの迎えられる

セ・リーグ 広島8-5中日

(7月2日 豊橋)
 劇勝だ。広島は2日の中日戦(豊橋)に8―5で勝った。同点の延長12回2死満塁で、代打・安部友裕内野手(24)が決勝の3点二塁打を左越えへ運んだ。投げては7番手・菊地原がオリックス時代の07年以来6年ぶりの勝利を飾れば、8番手・久本は中日時代の06年以来7年ぶりのセーブをマーク。赤ヘルは中日と入れ替わって3位へ浮上した。

 大熱戦に終止符を打ったのは安部だった。同点で迎えた延長12回2死満塁、中日・鈴木の外角高めチェンジアップを無心で強振。打球は前進守備の左翼手・和田の頭上を襲った。

 「当たれば何かがある。外野も前に出てきていたので、中途半端なスイングだけはやめようと思っていました」

 和田が一度はグラブに打球を入れたものの、体勢を崩し、白球はグラブからこぼれ出た。塁上を埋めた3人の走者が次々と本塁を駆け抜ける。二塁上に立つヒーローは満面の笑みでこん身のガッツポーズを繰り返した。

 苦い思い出を糧にした。6月28日の阪神戦(甲子園)。2点リードの8回1死一、二塁、バントをさばいたミコライオからの送球をベースカバーに入った二塁で捕り損ねて失策とすると、チームはそこから大逆転負けを喫した。翌日からはスタメン出場はおろか、この日まで出番さえもなし。定位置確保を狙う若手にとって、1つのミスが命取りになることを身をもって知った。

 「取り返せたとは思っていない。ずっとモヤモヤしているんで…。守備についてボールをさばかないと、モヤモヤしたままですが、今日は僕のヒットで勝つことができたので良かった」。高卒6年目の成長株はほんの少しだけ、溜飲を下げた。

 最悪の試合展開を打破した。先発・野村が2点リードの6回に同点とされて降板。7回に菊池の押し出し四球、8回には松山の6号ソロで2度勝ち越したが、いずれも中継ぎ陣が踏ん張れず、直後に同点とされた。脳裏に最悪の結果もよぎったであろう指揮官は「中日相手に延長12回。イヤなイメージしかないが、勝ちきったことは選手を褒めたい」と、安部をはじめとする選手たちのたくましさに目を細めた。

 チームは連勝で3位に浮上した。安部は「明日につながると思います」と話し、名古屋移動のバスへと乗り込んだ。ただの勝ちではない。チームにも、そして安部自身にとっても大きな意味を持つ1勝となった。

 ▼広島・久本(06年5月13日の楽天戦以来のセーブ)みんなでつないできたのでうれしい。こういう試合に勝てば流れに乗れる。

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2013年7月3日のニュース