128得点130失点でも…ロッテ奪首!サヨナラ8連勝

[ 2013年5月10日 06:00 ]

<ロ・西>延長11回1死満塁、打者荻野貴のとき西武のバッテリーエラーで三走・細谷(左)ががサヨナラの生還、喜ぶロッテナイン

プロ野球 パ・リーグ ロッテ3-2西武

(5月9日 QVC)
 ロッテは9日、西武と対戦し、延長11回1死満塁から荻野貴司外野手(27)の打席で暴投によって、今季3度目のサヨナラ勝ちを収めた。首位攻防戦で連勝し、7年ぶりの8連勝。開幕当初を除けば、昨年7月30日以来の単独首位に立った。128得点に対し、130失点と得点が下回る異例の首位奪取。逆転勝ちはリーグトップの12度目で、1点差勝ちが9勝2敗と接戦に強い伊東ロッテがパ・リーグに旋風を起こしている。

 伊東ロッテらしい幕切れだった。2―2の延長11回、3四死球で1死満塁。荻野貴への3球目が暴投となり、ヒットなくしてサヨナラ勝ちだ。古巣を首位から引きずりおろした伊東監督は笑みを浮かべ、こう言った。

 「選手の中で開幕戦のイメージが残っている。開幕からこういう試合をことごとくものにしているね」。開幕戦の3月29日、翌30日にオリックスを相手に2試合連続で延長12回サヨナラ勝ち。それ以来の劇的勝利だ。7年ぶりの8連勝で首位奪取だが、128得点に対し、130失点である。

 得点が下回りながらリーグトップに立ったのはなぜか。2年連続Bクラスに沈んだチームに対し、弱者の野球を徹底的に叩き込んだ「伊東イズム」の表れだ。開幕を3日後に控えた3月26日、都内の中華料理店で開かれた決起集会。伊東監督は、こう切り出した。「俺たちは弱いんだ。だから、束になって相手にかかっていくんだ」。普通なら前向きな言葉で鼓舞するところだが、あえて現実を受け入れさせることで一体感を重視するチーム方針を明確にした。オフの目立った補強もなく、主将の岡田は「まさにそうだなと感じた。どういう戦い方をしていくかを再確認した」という。

 弱者が勝つには接戦で勝ち続けるしかない。そのためには相手に隙を与えず、相手の隙を突く。現役時代、西武の黄金期を築いた名捕手は試合中、石貫チーフスコアラーと捕手をベンチ裏に呼んで、試合状況に応じた打者の攻略法を細かく話し合う。さらにベンチ内で捕手の横で生解説。金沢は「1球ごとに打者の反応や配球のポイントをライブで分かりやすく教えてくれる」と感謝する。

 開幕前の下馬評を覆し、5月に入って無敗。「一人一人の力はしれているしスター選手がいなくてもいい。全員が束になってかかる」と伊東監督。絶対的な主役がいない雑草軍団でも勢いは本物だ。

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2013年5月10日のニュース