9回に最速151キロ!鉄腕・安楽で済美4強

[ 2013年4月2日 06:00 ]

<済美・県岐阜商>9回にこの試合最速の151キロを計測する済美・安楽

第85回センバツ高校野球大会第10日準々決勝 済美6-3県岐阜商

(4月1日 甲子園)
準々決勝2試合が行われ、第2試合は済美(愛媛)の152キロ右腕・安楽(あんらく)智大投手(2年)が3失点も138球を投げ抜き、7奪三振で3試合連続の完投勝利。県岐阜商を下し、初出場初優勝した04年以来9年ぶりに準決勝に進出した。第1試合は高知が仙台育英(宮城)を2―0で破り、75年以来38年ぶりの4強入り。2日は準決勝2試合が行われる。

 トップギアに入れた。8回に逆転に成功し、迎えた9回。安楽は全身を包む疲労を吹き飛ばすように、力の限り腕を振った。2死からこの日最速の151キロを計測。そこから二、三塁のピンチを招いたが、138球目の150キロ直球で最後の打者を遊ゴロに仕留めた。

 「あしたがないくらいの気持ちで腕を振った」。3月30日の3回戦・済々黌戦(熊本)で打球が右手首を直撃した。中1日のマウンド。腫れは依然残り、リストが利かずにボールにスピンがかからない状態だった。スローカーブで緩急をつけたが、失点を重ねた。2―3で迎えた6回にも1死一、三塁のピンチを招くと、上甲正典監督からの「コントロール中心で投げろ」という伝令が届いた。これで落ち着きを取り戻し、後続2人をいずれもスライダーで連続空振り三振。4点を奪った8回の逆転劇は自身も押し出し四球を選んだ。

 3戦連続完投。初戦の232球に始まり、その球数は1週間で529球に達した。その鉄腕ぶりは野球専門雑誌「ベースボール・アメリカ」に取り上げられ「米国では16歳の投手は232球を1カ月でも投げない」と書かれた。それに対し、安楽は「他の高校生もそう。それほど練習してきた。投げすぎだと思わない」と言った。甲子園での連戦を想定して冬場に投げ込んだ自負がある。

 準決勝は2日に行われ、今大会初の連投を強いられる。2年生エースの疲労を心配する上甲監督は「肩と肘を見ないといけない」と慎重だったが、安楽は言い切った。「エースというのはどれだけもつれても一人で投げ切る。福井さんもそうだった」。大会前、センバツ初出場初優勝を飾った04年の映像を見た。同じ2年生エースだった福井(現広島)は5試合中4試合で完投し、705球を投げ抜いた。

 試合後。投げ合った県岐阜商の藤田から「全国制覇してね」と声をかけられ、力がみなぎった。準決勝の相手は高知。3歳から7歳まで高知県で過ごした安楽にとっては不思議な巡り合わせだろう。四国決戦を制し、9年ぶりの頂点に向かう。

 ≪春は無傷8連勝≫済美がセンバツでは初出場初優勝した04年から8連勝。同大会の初出場からの連勝記録は34年に初出場初優勝し、翌35年に4強入りした東邦商(現東邦)の7連勝。

 ≪四国勢2校以上4強は9ねんぶり≫高知と済美がともに勝って4強入り。四国勢が2校以上、ベスト4に進出するのは04年(済美が優勝、明徳義塾が4強)以来、9年ぶり10度目。四国勢が準決勝で対戦するのは04年の2校が対戦して以来、4度目だが、64年(徳島海南1―0土佐)、83年(池田2―1明徳)、04年(済美7―6明徳義塾)と過去3度は勝者がいずれも優勝している。

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