イチロー2三振 「異常な緊張」で初戦自身初“珍事”

[ 2012年3月5日 06:00 ]

<マリナーズ・アスレチックス>4回、飛球を好捕後、フェンスに激突するマリナーズ・イチロー

オープン戦 マリナーズ2―9アスレチックス

(3月3日 ピオリア)
 マリナーズのイチロー外野手(38)が3日(日本時間4日)、「3番・右翼」でオープン戦に初出場。2打席連続で空振り三振を喫するなど3打席で無安打に終わったものの、守備では4回に背走キャッチでスタンドを沸かせた。3番を意識した新打法完成に向けて、イチローがメジャー12年目のリスタートを切った。

 自分でも理由はよく分からない。メジャー12年目のオープン戦初出場。何度も経験してきた「節目」のはずだが、イチローは独特の感覚を口にした。

 「3番がどうとかじゃなく、最初のゲームは緊張する。異常な緊張だよね。それぐらい慣れない。毎年、そう」

 最初の対外試合に対する気負いなのだろうか。1打席目は外角ストレートを、2打席目も外角スライダーにバットは空を切り、連続三振。オープン戦初戦で三振を記録したのは、メジャー12年目にして自身初の「珍事」となった。

 もちろん、連続三振の背景にあるのは緊張だけではない。3番という新打順を意識し、取り組む新打法。ある程度、長打を意識するには力をよりボールに伝えなければならない。両手を離さず取るフォロースルーは昨季よりも若干大きくしている印象を受ける。さらにキャンプイン当初のすり足打法は、重心移動の少ないフォームで球を確実に捉えるという考えに起因しているとみられる。現在はタイミングの取り方を試行錯誤中で、右足を若干上げるフォームに修正。足の上げ幅も5センチ、10センチと微妙に調整している。いずれにしても、38歳の再挑戦は最終形に向けて模索を始めたばかりの段階。エリク・ウェッジ監督も「繰り返しやっていけば大丈夫」と心配はしていない。

 ただ、次第にゲームの雰囲気に溶け込んでくると、守備ではファンを沸かせた。4回には頭上を越えようかという大飛球を、背走でほぼ真後ろに追い、最後はジャンピングキャッチ。そのまま外野フェンスにぶつかったものの、らしさ満載の超美技だった。

 「捕る予定は全然なかった。とりあえず(捕りに)行ってみようと思ったら、あれ、(グラブに)入ったって。たまにあることです」。おどけた口調ながら、フェンスまでの距離を正確に把握し、心理的余裕があるからこそできるプレー。ここでは貫禄を示した。

 シーズン200安打が10年連続でストップし、仕切り直しとなるシーズンでのオープン戦初戦。イチローにとって、いつもながらの「異常な緊張」を伴う通過儀礼が終わった。

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2012年3月5日のニュース