松井、殿馬ばり「秘打・G線上のアリア」で決勝点

[ 2011年4月19日 06:00 ]

<アスレチックス・タイガース>四回裏一死一、三塁、投ゴロに打ち取られるも三走を生還させた松井、左は一塁線上の打球を拾う先発のペニー

ア・リーグ アスレチックス5―1タイガース

(4月17日 オークランド)
 アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が「秘打」でチームを勝利に導いた。17日(日本時間18日)のタイガース戦に5番・DHで先発出場。4打数無安打に終わったが、0―0の4回1死一、三塁では豪快なスイングとは対照的なバントのようなボテボテのゴロで2試合連続となる決勝点を奪った。チームは本拠地で初の連勝をマーク。再び勝率5割に復帰した。

 豪快なフルスイング、そしてボテボテのゴロが試合の行方を左右した。同点の4回1死一、三塁。松井は2ボールからの3球目、92マイル(約148キロ)ツーシームを全力で打ちにいった。しかしボールの上っ面を叩いた打球は、こん身のスイングからは想像もつかないように、走りだした松井の体の後ろを追うように一塁線へとコロコロ。フェアか、切れるか…。野球漫画「ドカベン」のキャラクター・殿馬がライン上に打球が停止するように放つ「秘打・G線上のアリア」のようだった。

 「あそこはどうしても点が欲しいところ。打撃内容は別として、点が入って良かった」。苦笑いしながらも、松井は快打を打ったかのように素直に喜んだ。見送ればファウルの可能性が大。しかし先発のペニーは、一塁手カブレラの「ファウルにしろ!」という指示を無視してまで一塁送球を優先。ボブ・ゲレン監督が「打ち直しても打っただろうな。本塁打が飛び出したかも」と笑えば、タイ・ウォーラー一塁コーチも「とっさに一塁でのアウトを取ったのだから、打ち直しを嫌がったのだろう」と話した。

 メジャー9年目。過去の実績に加え、09年ワールドシリーズMVPという勲章が打席内での威圧感を生んでいる。実際に08、09年にヤンキースで一緒にプレーしたタ軍の左腕コークも「普段は優しい選手だが対戦は別。一つ間違えば場外に運ばれる、そんな空気が漂う。ア軍では常に一番警戒しないといけないと、みんな理解している」。ペニーも「やられたづら」と思ったに違いない。

 試合は先発ケーヒルが8回1失点と好投。勝率を5割に戻した。相手投手を「ありゃ?」と惑わせる秘打で2試合連続の決勝点。松井は「どんな時でも勝てばうれしい」と最後まで笑顔だった。

 ▽秘打・G線上のアリア 漫画「ドカベン」に登場する、殿馬一人が得意とする打法。2番打者の殿馬は非力で、それを補うためにさまざまな「秘打」を開発。「G線上のアリア」は、ファウルライン上にボールを停止させる絶妙なバント。他にも「秘打・白鳥の湖」や「秘打・ツィゴイネルワイゼン」など、天才的なピアノの腕前を持つというキャラクター設定から、音楽にまつわる秘打を数多く駆使する。

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2011年4月19日のニュース