同僚ジョークに発奮!西岡“ノーパワー返上”三塁打

[ 2011年3月8日 06:00 ]

<ツインズ・オリオールズ>5回1死、二塁、右中間を破る適時三塁打を放ち俊足で一塁を駆ける西岡

オープン戦 ツインズ3―0オリオールズ

(3月6日 リーカウンティー)
 ツインズの西岡剛内野手(26)が6日(日本時間7日)のオリオールズ戦で移籍初長打となる三塁打を放った。チームメートから「ノーパワー(非力)」とからかわれ発奮。引っ張る打撃を初めて解禁し、左打席から深々と右中間を破った。第2打席ではヒットエンドランに成功し右前適時打を放つなど、初のマルチ安打も記録。状況に応じて大技小技を見せつけた。

 西岡は試合後、本塁打狙いだったことを明かした。5回1死二塁。2ボール1ストライクから、真ん中への145キロを豪快に引っ張った。打球は右中間を深々と破り、悠々と三塁に到達した。

 詰まってもいいから、オープン戦の間は球を引きつけ逆方向へ。かたくなにそう言い続けてきた西岡が、突如として「引っ張り」を解禁したのには理由があった。

 初回、速球を打って遊ゴロ。自分なりに納得できる打撃だったが、ベンチで数人に「いつもゴロばかり打っている。ノーパワー」とからかわれた。チームメートからは、以前にもショートゴロが多いことを指摘された。その時は「シーズンでは力が入り体が前に突っ込むから、今は意識的にそうしている」と説明し、相手も「それは良いな」と納得していた。それが、再びジョークのネタにされた。

 分かっていてもカチンときた。引っ張れば右飛で進塁打になる状況も手助けした。「センターより右に打てば最悪でも2死三塁。パスボールで1点のケースもある」。結果は目の覚めるような移籍初長打。7924人のファンから起こったスタンディングオベーションは、鳴りやまなかった。

 「ウレシエ、ウレシエ(うれしい)」と日本語教科書を手に切り出したのはガーデンハイアー監督。2日前に西岡と話し合い、自分の求める野球スタイルを説明したという。「2番といっても、うちは犠打は少ない。3番マウアーの前でバントしても、一塁が空いて歩かされるだけ。ニシはいい打者なんだから、どんどん打てばいい」

 そんな監督を三塁打以上に喜ばせたのが3回。指揮官が好きだ、と話すヒットエンドランを完璧に決めた。1死一塁で走者のカシーヤがスタートし、二塁手がベースカバーへ動く。そこを見て取り、詰まりながら一、二塁間を破った。俊足のカシーヤは緩慢な相手守備の隙を突き、三塁を蹴って一気に生還した。西岡は「何でも二塁打、三塁打と狙えばアウトも増える。状況把握し、その中で成功できればいい」と長打以上に求められる確実な打撃に胸を張った。

 「またいろいろな経験ができて、開幕に一歩ずつ近づいている。うれしかったけどまだ調整段階。おごることなくあすもプレーしたい」。長短織り交ぜた自分のプレースタイルが、本場・米国でも十分通用する手応えがしっかりと残っていた。

 ≪年々UPの長打率≫西岡はロッテ時代の05年に11本、06年に7本の三塁打を放ち2年連続リーグ最多。08年の6本、昨年の8本もリーグ3位と、日本でも三塁打が多かった。俊足に加え長打力も備えており、08年から3年連続で2桁本塁打中。長打率(塁打/打数)も07年までは3割9分台だったが、08年に・463、昨年は自己最高の・482と年々数字を上げてきている。

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