サーフィン&スケボーでの五輪同一大会出場なるか 15歳になったスカイ・ブラウンの新たな挑戦

[ 2024年2月27日 10:22 ]

昨年7月、千葉県一宮町で開催されたサーフィンのプロツアーに出場した21年東京五輪スケートボード・パーク女子銅メダルのスカイ・ブラウン
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 オトナの常識をぶっ壊す挑戦は成就するだろうか。

 カリブ海に浮かぶ米自治領プエルトリコで開催されているサーフィンのワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当)に、東京五輪のスケートボード・パーク女子で英国史上最年少の13歳で五輪メダル(銅)を獲得したスカイ・ブラウン(15=英国)が出場している。大会は5カ月に迫ったパリ五輪の最終予選を兼ねる。目指すのは3年前とは異なる競技での五輪出場――ではなく、サーフィンとスケートボード、2つの競技で五輪同一大会に出るという偉業だ。

 昨年7月、東京五輪以来2年ぶりに帰国し、千葉県一宮町で行われたサーフィンのプロツアーに出場したブラウンは、2つの競技での五輪出場を「ビッグゴールです」と言い切った。同じ横乗り系で親和性が高いと思われがちなサーフィンとスケボーだが、「実際にはかなり別物だと思う。サーフィンは波を待ち、自然やポジショニング、パドリング、プライオリティーなどの争いもある」と、世界のトップで戦っているからこその肌感覚を明かしてくれた。

 もし、夏季五輪では空前と言える二刀流が実現すれば、現実問題として立ちはだかるのが競技日程だ。パリから約1万5700キロ離れた仏領ポリネシアのタヒチ・チョープーが舞台となるサーフィンは7月27~30日、スケボー・パーク女子は8月6日に競技が行われる。一見、余裕がありそうだが、スケボーにとって重要な本番会場での公式練習が同2~5日に設定されており、つかの間の休養と移動に当てられるのは7月31日~8月1日の中2日だけ。夏季は12時間の時差があり、実際には中1・5日だ。天候に左右されやすいサーフィンに日程変更が生じれば、もっとタイトな状況に追い込まれる可能性すらある。

 5カ月間という決して十分とは言えない時間を、どう配分して練習に当てるかも、難しい判断になるのではないか。世界屈指の難関サーフスポットで知られるチョープーを攻略するには、事前に現地に長期滞在し、巨大な波に慣れることが必須。スケボーでは昨年2月の世界選手権を制し、パリ五輪予選ランキングは、過去3戦中2戦の出場ながら3位。28日に始まる五輪予選会第4戦(ドバイ)を欠場しても余裕がある状況だが、5月と6月には配点が一気に上がる第2フェーズの予選会2大会が控える。海での練習を継続しながら、ケガのリスクも高いスケボーで金メダル獲得への準備をこなすことは、想像以上の困難を伴うのではないか。

 ……との外野の勝手な心配も、おそらく本人はどこ吹く風だろう。ブラウンは「違いはたくさんあるけど、私はどっちも本当に大好き」と言い切った。真剣勝負も楽しむこと、ライバル同士でも称え合い、励まし合う新しいスポーツのカルチャーを世界に発信してから3年。たとえ壮大な目標がかなわなくても、常識にとらわれずに挑戦することの尊さを、15歳になった彼女は教えてくれている。(記者コラム・阿部 令)

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