筋トレをやり過ぎるとどうなる?こわ~い「オーバートレーニング症候群」とは
ハードな筋トレを日々こなすトレーニー。鍛え上げられた肉体とストイックな精神は称賛に値しますが、何事もやり過ぎは禁物。
筋トレの場合、ハードなトレーニングをこなし続けると、パフォーマンスが上がらないどころか、さまざまな心身の不調に見舞われることも。
今回はハードなトレーニングをし過ぎると起こる「オーバートレーニング症候群」についてまとめていきます。
オーバートレーニング症候群とは
オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングが長時間続くことによって疲労が蓄積していき、回復できなくなった慢性疲労状態を指します。
オーバートレーニングは、1回だけのトレーニングで急激になるものではありません。日常的にトレーニングを続けて疲労が蓄積し、徐々に回復する力が弱くなっていくものです。
こんな人がなりやすい!
真面目で責任感があり、練習熱心なトレーニーに起こりやすい傾向があり、プロのアスリートでも陥ることがあります。
オーバートレーニング症候群の症状
いつも通りパフォーマンスを発揮できなくなるだけでなく、日常生活でもカラダが重く感じる、息切れ、食欲低下、手足のしびれ、体重の減少などの「身体的な症状」と、不眠や不安、集中力低下などの「精神的な症状」が現れます。
オーバートレーニング症候群には明確な診断基準がないため、体調が悪いだけ、あるいは精神的に疲れているだけ、調子が悪いのはコンディションが原因であると考え、さらにトレーニングに励んでしまうという負のループに陥る危険性があります。
オーバートレーニングのチェック項目10
- 休息時の心拍数に変化はないか
- 血圧に変化はないか
- 食欲は減退していないか
- 体重や体脂肪率が急激に減っていないか
- イライラや不安感はないか
- 注意力が低下していないか
- 寝つきが悪くなっていないか
- 寝入ってもすぐに目が覚めないか
- 筋肉痛が長引いていないか
- 筋トレの記録が長い間停滞していないか
オーバートレーニングの症状は、人によってさまざまですが、もしチェック項目に該当するものが複数あった場合、オーバートレーニングの可能性があります。
オーバートレーニング症候群から回復するには
とにかく休息する
オーバートレーニング症候群は、休養以外に回復方法はないと言われています。
不眠や不安感などの精神的な症状が出て、睡眠剤や抗うつ剤などの薬が処方されることはあるかもしれませんが、オーバートレーニング症候群は薬で回復するものではないのです。
長期間休養することで、周囲との差が広がるといった焦りが生まれるかもしれません。しかし、無理をしてトレーニングを続けると、さらに悪化し、復帰までの道のりが長くなっていきます。
軽い運動もNG
軽い練習やジョギングなどの体を慣らす動きも控えたほうが賢明です。いざ始めると、ついやり過ぎてしまう場合が多いので注意が必要です。
休息はどれくらいとればいい?
トレーニングと休息の適切なバランスは人それぞれです。その人の能力や経験、性格、体調、さらには天候などの外的環境までもが複雑に関連するため、一概に線を引くことはできないのです。
いずれにしても、パフォーマンス低下=トレーニング不足と安易に結びつけるのは控えましょう。
オーバートレーニング症候群の予防方法
オーバートレーニング症候群を防ぐためには、日頃からコンディショニングチェックを習慣づけておくことがポイントです。
起床時の心拍数をチェックする
毎日、起床時に1分間の心拍数を測定する習慣をつけましょう。じっとした状態で10秒間手首の脈を測り、それを6倍することで簡単に測定できます。また、スマートウォッチを活用することでさらに簡単に計測できます。
疲労が溜まっていると、いつもの平均心拍数よりも10~15高いとされています。起床時の心拍数が高い状態が続くようであれば、練習量の調整が必要かもしれません。
体重をチェックする
練習量の増加などによって、体重が一気に減少してしまうことがあります。急激な体重の変動は、カラダに大きな負担がかかっている証拠です。
疲労度を5段階で自己評価する
毎日起きたときに、疲労度を5段階評価で記録しておきましょう。ハードな練習の翌日に疲労度が高いのは当然ですが、軽い練習やオフの次の日に疲労度が高いようであれば、疲労の蓄積が疑われます。
練習内容以外にもしっかり睡眠がとれているか、食事が摂れているかなど、さまざまな要因によって疲労度が変わってきます。5段階の自己評価とともに気づいた点をメモしておきましょう。
もしオーバートレーニング症候群が疑われるようであれば、まずはスポーツ内科疾患に詳しい医療機関で診察してもらいましょう。
参考記事:「オーバートレーニング症候群」を見分ける10のサイン。こんな症状が出たら筋トレのやり過ぎ!
横紋筋融解症にも注意
稀ではありますが、熱心にトレーニングに取り組み過ぎるあまりオーバーワーク状態に陥り、筋肉への負荷が限界を超えると、「横紋筋融解症」と呼ばれる症状が現れることもあります。
横紋筋融解症とは
横紋筋融解症は筋肉細胞が破壊され、血中に流れ出すことで引き起こされます。そ
の物質が腎臓を始めさまざまな臓器に影響を与えて腎不全の原因となり、最悪の場合は死に至ることもある病気です。
横紋筋融解症は外傷や感電、感染症、薬の副作用なども原因になります。しかし、よく知られている事例として挙げられるのが、強度の高い運動によって極端に筋肉を酷使した後に発症してしまうことです。
以前は軍隊の行軍やマラソンなど、長時間にわたる運動が原因となるケースが知られていました。しかし近年になって、クロスフィットやHIIT(ヒット)など、短時間で強度の高いトレーニングを行う人にも起こりうることが分かってきました。
こんな人がなりやすい!
一般の人や運動不足の人は、横紋筋融解症になる危険性は少ないでしょう。そのような人はそもそも強度の高い運動をするだけの体力がないからです。
もしそのような機会に見舞われたとしても、多くの場合は心理的ブレーキがかかり、体に害が出るまでに自分で運動をやめてしまいます。
危険なのは、ある程度トレーニングを経験した中~上級者、あるいは元アスリートでブランクを経てトレーニングを再開した人です。自分を極限まで追い込むため、リミッターを外してしまうのです。
また、高温多湿などの悪条件から来る脱水状態も、横紋筋融解症を誘発することが分かっています。
横紋筋融解症の症状
横紋筋融解症にかかると、極度の筋肉痛、吐き気、嘔吐、頭痛、痙攣(けいれん)などの症状が現れます。そして、コーラ色の尿が出ることもあります。
赤っぽい色をしているので血尿と間違われることも多いのですが、これは筋肉が壊れて出てくるミオグロビンという物質が、腎臓を通して尿中に排泄されているものです。
このような尿が出るというのは、大変危険な状態である可能性があります。なぜなら、ミオグロビンは腎不全を引き起こすからです。
横紋筋融解症の予防と回復
横紋筋融解症にかかっても、ほとんどの場合は数時間から1週間程度の点滴注射による水分補給で回復します。
横紋筋融解症の症状がある場合は、即座にトレーニングを中止して医師に相談してください。
参考記事:ハードな筋トレのやり過ぎで起こる病気「横紋筋融解症」とは。原因・症状・予防方法をトレーナーが解説
<Edit:編集部>
- ストイックな人が陥る「オーバートレーニング状態」とは。原因・症状・予防法を解説
- 「オーバートレーニング症候群」を見分ける10のサイン。こんな症状が出たら筋トレのやり過ぎ!
- ハードな筋トレのやり過ぎで起こる病気「横紋筋融解症」とは。原因・症状・予防方法
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