照ノ富士、新大関1勝!史上9人目の昇進場所Vへ上々発進

[ 2015年7月13日 05:30 ]

碧山を上手投げで破る照ノ富士

大相撲名古屋場所

(7月12日 愛知県体育館)
 夏場所で初優勝して大関に昇進した照ノ富士(23=伊勢ケ浜部屋)が碧山(29=春日野部屋)を上手投げで下し初日に大関初勝利を挙げた。06年夏場所の白鵬以来史上9人目(優勝制度が確立した1909年夏場所以降)となる新大関場所優勝へ向けて上々のスタートを切った。

 ピンチになっても、自分の型にならなくても強い。照ノ富士は立ち合いで低く当たってきた193キロの碧山に押し込まれて後退。さらに左足を後方に滑らせて前のめりになった。「焦った。(相手が)引いたら落ちていた」。何とか踏ん張って耐えると、体勢を立て直して左四つに組んだ。得意の右四つではない。それでも相手が出てきたところで、冷静に右上手投げで仕留めた。「バタバタして、まわしを取るまできつかった。ちょっと危なかったなぁ」。一瞬ヒヤリとさせられながらも、貫禄の白星だった。

 新調した黒の締め込みで新大関のスタートを切った。優勝した夏場所で使用したものが短めだったため、長いものを用意したが、当初は使用をためらった。過去には連勝が続いている間、どんなに待たされても他の力士が引き揚げるまで稽古場に居残り続けるなど験担ぎにはこだわるタイプ。だが、今回は縁起のいい締め込みはタンスにしまった。「神様と相談したら、“関係ないよ”と言ってたから」。そう冗談で説明したが、大関を機に自分の力だけを信じることに決めた。新たな自分への挑戦だった。

 決して調子は万全ではない。5月に大関昇進を決めてからはあいさつ回りなどで多忙を極めた。6月中旬から行った部屋の合宿では右ふくらはぎにうみがたまる炎症の蜂窩(ほうか)織炎を患い、4日ほど土俵での稽古を休んだ。いつもより土俵外の筋力トレーニングの時間も取れていない。それでも場所前は稀勢の里のいる田子ノ浦部屋へ2日連続で出稽古に行くなど急ピッチで仕上げた。

 プレッシャーのかかる初日を白星で飾っても、表情を緩めることはない。照ノ富士は昇進後「大関なので千秋楽まで優勝争いしないといけない」と語る。4人の大関のうち、琴奨菊と豪栄道の2人に早くも土がついたが、勝ち続けて終盤戦に臨むのが大関の務め。北の湖理事長(元横綱)は「上を目指す気持ちが強い。守ろうとしていない。勝って、気持ちは楽になるんじゃないか」と期待を寄せる。数日前までの曇天から一転して33度まで暑くなった名古屋。照ノ富士の活躍次第で、土俵の上はもっともっと熱くなる。

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