43年ぶり快挙!15歳アマ、米女子ツアー最年少V

[ 2012年8月28日 06:00 ]

カナダ女子オープンで米女子ゴルフツアー最年少優勝記録を更新し、喜ぶリディア・コ

USLPGAツアー カナダ女子オープン最終日

(8月26日 カナダ・コキトラム バンクーバーGC=6681ヤード、パー72)
 韓国系ニュージーランド人の15歳が米女子ツアー最年少優勝を飾った。アマチュアのリディア・コは7バーディー、2ボギーの67で回り、通算13アンダー、275で制覇。15歳4カ月2日での勝利は昨年、レキシー・トンプソン(米国)が記録した16歳7カ月8日を1歳以上も更新。アマチュアの優勝は1969年のジョアン・カーナー(米国)以来43年ぶりの快挙だった。宮里美香(22=NTTぷらら)は70にまとめ通算3アンダーの15位だった。

 まだあどけない眼鏡姿の15歳が快挙を達成した。最終18番。コが慎重に1メートルのボギーパットを沈めると、ギャラリーは総立ちで拍手を送った。同組で回ったS・ルイスらプロからはペットボトルの水で祝福された。米女子ツアー初勝利にも涙はなく「プロの中で勝てるのは本当に素晴らしい」と笑顔で語った。

 最終日を1打差の首位で迎えた。前半は接戦だったが、10番からの4連続バーディーで後続を振り切った。勝因は18ホールでわずか26のパット。2番パー4では8Iで約60センチに付けて最初のバーディー。6番パー5ではショットを右に曲げながらも7メートルをねじ込んで2つ目のバーディーを奪った。波に乗った10番からは4連続バーディー。飛ばし屋ではないが、安定したショットとパットで、この日のベストスコア67をマークした。

 史上最年少、そしてアマチュアとしては43年ぶり5人目となる勝利は決して奇跡ではない。韓国で生まれ、5歳でゴルフを始めた。6歳の時に家族でニュージーランドに移住し、本格的にゴルフに取り組むと、今年1月には14歳9カ月でオーストラリア女子ツアーのNSW女子オープンを制し、石川遼の15歳8カ月を抜く世界最年少優勝記録を更新。2週前には全米女子アマも制覇した。

 会見では「1月にも最年少記録を塗り替え、そして、また記録を更新するなんてびっくり。最後の数ホールは少し緊張したけど、15番のバーディーの後に(同組の)ステーシー・ルイスに“あなたにならできる”と言ってもらった。憧れていた選手に応援をしてもらえるなんて素晴らしい」と感無量。一方で「(アマチュアのため)賞金がもらえないのは残念」と笑いを誘う余裕も見せた。

 この勝利で手袋が世界殿堂に飾られることになったが、ニュージーランドの高校を卒業後は米国の大学への進学を希望。「この優勝で計画を変えるつもりはない」と早々のプロ転向を否定した。「いつか日本の試合にも行きたい」という天才少女は、今後も史上最強アマとして世界を股に掛けて活躍する。

 ≪プロツアーでアマ躍進≫最近はアマがプロツアーで勝つケースが目立つ。日本男子では07年のマンシングウェアオープンKSBカップに石川遼(杉並学院高)が当時の世界最年少記録で優勝し、昨年の三井住友VISA太平洋マスターズでは松山英樹(東北福祉大)が勝った。また日本女子では今年のサントリー・レディースで韓国の金孝周(キムヒョジュ)が16歳で勝ち、アマチュア時代に18歳で勝った宮里藍(東北高)の記録を更新した。金孝周は今年の韓国ツアーでも優勝。欧州ツアーでも09年のジョニー・ウォーカー・クラシックで当時18歳のダニー・リー(ニュージーランド)が優勝した例がある。

 ◆リディア・コ 1997年4月24日、韓国生まれのニュージーランド人。韓国名はコ・ボギョン。6歳で移住し、現在はオークランド在住。今年1月、オーストラリアで開催されたNSW女子オープンに、ツアー世界最年少記録となる14歳9カ月で優勝。今季は既に米ツアー3試合に出場。2月のISPSハンダ女子オーストラリアオープンは19位、7月の全米女子オープンは39位。1メートル73。

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