岸部、涙の一発合格 福島・富岡高から希望の第一歩

[ 2012年7月27日 06:00 ]

18位タイで合格し笑顔を見せる岸部桃子

女子プロテスト最終日

(7月26日 茨城県つくばみらい市 茨城ゴルフ倶楽部東コース=6476ヤード、パー72)
 今春に福島・富岡高を卒業したばかりの岸部桃子(18)が、通算4オーバーの18位で一発合格を決めた。昨年3月の東日本大震災で被災し、東京電力福島第1原発の事故で高校は立ち入り禁止の警戒区域に。震災直後は千葉での避難生活も味わったが、見事にプロとしての一歩を踏み出した。首位から出て71で回った東浩子(20)が通算7アンダーでトップ通過。今季ツアー13試合の出場権を獲得した。

 合格が決まった瞬間、岸部は母・房代さん(44)と涙を流して喜びを分かち合った。20位タイまでが合格で、通算4オーバーは後続の結果待ち。祈る思いでスコアボードを見つめていると、かろうじて岸部のスコアまで合格ラインが下りてきた。

 「震災の時にいろいろな人に支えてもらって、その人たちのために頑張ろうと思った」。プロテスト受験を決意したのは東日本大震災があったから。地震、そして福島第1原発の事故。学校が休校の間、それまで週2回通っていた千葉の江連忠ゴルフスタジオに身を寄せて避難生活を送った。

 愛用のクラブも練習コースから持ち帰れなくなったが、周りの人の協力ですぐに新しいクラブが集まった。おかげで震災2週間後から練習を再開。2カ月たっていわき市の自宅に戻った時には「お世話になった人への恩返しのためにプロになろう」と心に決めていた。

 ゴルフ部の部員は転校してバラバラになり、岸部もいわき市内のサテライト協力校に移った。だが、置き去りになっていたクラブは知人の協力もあって手元に戻った。この日使っていたユーティリティーがその中の1本。多くの人の助けと岸部自身の強い意志がプロへの道を切り開いた。

 ▼1位・東浩子 まだ頭が真っ白で今の状況を理解できていない。きょうは落ち着いてプレーできた。2日目の67が大きかった。(予期せぬトップ通過に興奮の面持ち)

 ▼43位・木戸侑来 終わってみて厳しい世界だと感じた。QT(ツアー予選会)に向けてまた練習を頑張る。(先週ツアー初Vの木戸愛の妹。姉も応援に駆け付けたが20位タイ以内に届かず)

 ▼55位・森美穂 自分の最大限の力を尽くそうと考えていたのに、何でですかね。(昨年に続く2年連続の不合格に号泣)

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2012年7月27日のニュース