尾崎銀メダル!ニューヒロイン登場だ 

[ 2009年8月24日 06:00 ]

2位でゴールした尾崎は歓喜の雄たけび

 尾崎がやった!ニッポン初メダルだ!!陸上の世界選手権最終日は23日、ベルリンで女子マラソンが23日、ブランデンブルク門発着の市街地周回コースの42・195キロで行われ、尾崎好美(28=第一生命)が2時間25分25秒で銀メダルを獲得した。優勝した白雪(20=中国)、3位に入ったアセレフェチ・メルギア(24=エチオピア)と終盤までデッドヒートを繰り広げ、粘りの走りで2位に入り、日本に大会初のメダルをもたらした。

 サングラスを外して両手を広げ、歓喜のゴールに飛び込んだ。笑顔はない。苦しみにゆがんだ表情が死力を尽くした証明だ。大会最終日、日本にようやくもたらされた初のメダル。尾崎の42・195キロが銀色に輝いた。
 「メダルを獲れると思っていなかったのでうれしい。最後に力尽きたけど、今の状態では満足できる結果です」

 序盤からの超スローペースは「30キロまでは余裕を持って行けた」と狙い通りの展開だったが、アクシデントが相次いだ。30キロすぎと40キロすぎには並走する外国人選手の投げ捨てたペットボトルが足元に転がりジャンプで回避した。「あの時は切れそうでした」。35キロ手前ではスペシャルドリンクの給水に失敗したが、給水スタッフを務めた男子3000メートル障害の岩水がボトルを拾い上げダッシュで手渡しに成功した。仲間の好プレーでエネルギーを補給すると35・5キロ付近で先頭に立った。40キロからは白雪との一騎打ち。41キロすぎのスパートにはつけなかったが、後続の追走は振り切った。

 大舞台を4カ月後に控えた4月に左腰を痛め、1カ月間練習ができなかった。トレーニングを再開した5月は「スタートラインに立つこと」を目標に掲げた。米コロラド州ボルダーでの高地合宿を始めた6月も「完走できるように」と上位進出は視界に入らなかった。だが、ボルダーできっちり練習を積むと「故障で逆にゆっくりと調整できた」と前向きになった。

 神奈川・相洋高時代は目立った実績はない。00年第一生命に入社し、91年世界選手権銀メダリストの山下佐知子監督(45)の指導で着実に力をつけた。4年前、雇用形態を正社員から契約社員に変更。「時間を有効に使って回復に充てたかった」。無頓着だった食生活にも気を使うようになった。08年名古屋国際2位でデビューすると、同年の東京国際で優勝。1メートル54の身長に対して股下が75センチという長い脚をフル回転させ、恩師に並んでみせた。

 「山下監督を超えられなかったのは残念だけど、とりあえず追いつけた。やっぱりここで金メダルを獲ったら調子に乗りそう。まだまだやれよってことだと思う」

 昨年の北京五輪は女王・野口が欠場、土佐が途中棄権し中村の13位が最高だった。惨敗から1年。ベルリンでニューヒロインが誕生した。

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2009年8月24日のニュース