安馬 テキーラ3本飲み干し大関もグイッ

[ 2008年9月29日 06:00 ]

殊勲賞の安馬(左)と敢闘賞の豪栄道

 安馬が九州場所での大関獲りに大きく前進した。大相撲秋場所は28日、両国国技館で千秋楽を迎え、安馬は初顔合わせの豊響を速攻相撲で寄り切り、自己最多の12勝目を挙げて4度目の殊勲賞に輝いた。九州場所で11勝以上を挙げれば、大関昇進の目安となる3場所合計33勝以上のノルマをクリアする。14日目に通算8度目の優勝を決めた白鵬は、琴光喜を寄り切りで下して締めくくった。豪栄道が2度目の敢闘賞を獲得し、九州場所での新小結昇進を確実にした。

 迷いはなかった。立ち合い。安馬は低い姿勢から頭で豊響に当たって素早くもろ差しになり、そのまま土俵の外まで走った。自己最多の12勝目。支度部屋に戻ると、モンゴル相撲の勝利の儀式である両手を広げるポーズで喜びを表した。
 「はあー、疲れた。きょうは大一番だったからね。しっかり手をついて立つことができたし、来場所につながる白星になりました」
 最後まで緊張感を失わなかった。前日は過去3戦全勝とカモにしていた豪栄道にまさかの黒星を喫し、白鵬に14日目での優勝を許してしまった。
 「昨日(自分が)勝っていればもっと場所が盛り上がったのにね…。部屋に戻ってもなかなかイライラが収まらなかった」と1人で錦糸町のバーに繰り出し、テキーラのボトルを3本も空にしたという。「酔いつぶれるまで飲もうと思ったけど、なかなかつぶれなかったよ」
 そのうっぷんを豊響戦にぶつけ、価値ある勝利をものにした。「11勝と12勝では(印象が)違うからね。(相撲の)内容がいいし、来場所が楽しみだよ」と武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は伸び盛りの24歳の大関獲りに期待を寄せた。取組前の三賞選考委員会で、安馬の4度目の殊勲賞受賞に賛成した放駒審判部長(元大関・魁傑)も「速さといい技といい申し分ない」と取り口を絶賛し「(現在)大関が4人いるが、(数は)関係ない」と明言した。
 大関昇進の目安は直近3場所で33勝以上。次の九州場所で11勝以上を挙げれば昇進の期待は大きく膨らむ。「チャンスなので一生懸命頑張ります。今場所、優勝争いしていい経験ができた」。実りの秋から収穫の九州へ。来場所は身上とする相撲内容と同じように一気に勝負を決める。

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2008年9月29日のニュース