お願い!“綱獲り”なんて言わないで

[ 2008年7月1日 06:00 ]

 早くもピリピリムード全開だ。夏場所で悲願の初優勝を飾った琴欧洲(25=佐渡ケ嶽)が、名古屋場所(13日初日、愛知県体育館)番付発表の30日、愛知県一宮市内の宿舎で会見。“綱獲り”という言葉に敏感に反応し、声を荒らげるなど神経質な一面を露呈したが、起死回生の?一手でピンチを脱した。14勝1敗以上の成績なら綱獲りが見えてくる今場所。緊張感とナーバスさを同居させた大関が勝負の場所へと挑む。

 琴欧洲があからさまに不機嫌そうな表情を浮かべたのは、会見で今場所での綱獲りについて話題が及んだ時だった。圧倒的な強さで初優勝を飾った先場所のような笑顔は影を潜め「何も意識していないし、全然考えていない。なったら、その時に考える」と、みけんにシワを寄せながらぶ然とした表情で答えた。
 これまでの低迷ぶりから昇進へのハードルは高いのも確か。それでも、序盤戦から白星を重ねていけば綱獲りも見えてくる。それだけに、その後も綱獲りについての質問が相次いだが、精神的に弱いことで知られる琴欧洲は、ついに声を荒らげた。
 「しつこいね…。意識はしたくないです。まだ場所のことは何も考えてないよ!」
 会見場の空気は一瞬にして凍り付き、重苦しい雰囲気に包まれた。品格が問われる横綱への昇進にマイナスになりかねない事態。同席した佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は、愛弟子が直面した思わぬピンチに機転を利かせ、琴欧洲の耳元で何やらヒソヒソ。すると、イライラを募らせていた大関は徐々に柔和な表情を取り戻した。
 まさに、高級料亭「船場吉兆」の“ささやき女将”こと湯木佐知子元社長をほうふつさせる“ささやき戦術”で愛弟子の窮地を救った佐渡ケ嶽親方は「私も本人には“綱獲り”と一切言わないんですよ。プレッシャーをかけますからね」と満面の笑みでフォロー。ささやきの内容については「長い質問に、どうやって答えたらいいか分からないみたいだったので、アドバイスした」と明かした。
 角界最高峰を目指す以上、重圧を避けて通れないのも事実。今後は精神面の強化が課題となりそうな琴欧洲だが、今場所中に“頭が真っ白に…”になんてことにならなければいいのだが…。

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2008年7月1日のニュース