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愛、涙の決勝進出で卓球初メダル サァー金獲るぞ!

[ 2012年8月7日 06:00 ]

シンガポールを破って決勝進出を決め、涙を流して喜ぶ(右から)福原、石川、平野

ロンドン五輪卓球

 感涙初メダルだ。5日の女子団体準決勝で、日本はシンガポールに3―0で圧勝。卓球では男女を通じて初めてのメダル獲得を決め、7日(日本時間同午後11時半)に行われる決勝で中国と対戦する。1番手の福原愛(23=ANA)がシングルス銅メダリストのフェン・ティアンウェイ(25)に3―1で勝利し、チームに貢献。五輪3大会目で悲願のメダルを決め、歓喜の涙を流した。

 仲間と喜びを分かち合うために猛然と走った。シンガポールに連勝して迎えた平野・石川のダブルス。次の自分の出番に備え、コートを離れてウオーミングアップしていた福原は、平野・石川組が8点目を取ったところでコートへ向かった。卓球界初のメダルへ、カウントダウンが進んでいく。あと2点、1点…。勝利が決まってコートサイドで跳び上がると、福原の涙腺は決壊した。視界がにじむ中、村上監督と抱き合い、石川、平野と熱い抱擁を交わした。

 「まだメダルを渡されていないからかもしれないけど、実感が湧かない。まだ、信じられない。ここまで長かったなって思いました」

 1番手で、表彰台への道を切り開いた。福原が対戦したフェン・ティアンウェイは、今大会のシングルスで石川にストレート勝ちし、銅メダルを獲得した強敵。過去1勝8敗と歯が立たなかったが、大一番で奮起した。第1、2ゲームは終盤の連続得点でモノにし、第3ゲームを落とした後の第4ゲームも競り勝った。長いラリーを制して勝負を決めると、左拳を握りしめる。「一球一球集中して、一球一球頑張りました」と胸を張った。

 92年8月13日に卓球を始めて7298日目。悲願のメダルだった。15歳で初めて出場した04年アテネ、開会式で旗手の大役を務めた08年北京は表彰台に届かなかった。特に北京では団体戦の3位決定戦で韓国に完敗。韓国選手がガッツポーズしている写真は練習場の壁に貼ってある。その時に聞いた歓喜の声は耳から離れなかった。「なんであんなに喜んでたんだろうと思ったけど、ようやく分かった」。

 昨年3月11日、出身地の仙台などを襲った東日本大震災が転機になった。それまでは結果が全てだと思っていたが、震災後は「勝っても負けても、恥ずかしいプレーは絶対できない」と思うようになった。昨年5月の世界選手権混合ダブルスで獲得した銅メダルを手に仙台市を慰問すると、みんなが喜んでくれた。「五輪のメダルだったらもっと喜んでくれる」。五輪前、被災地にメダルを持ち帰ると誓った。

 日本卓球界初のメダルを確定させたが、ここがゴールではない。7日には金メダルをかけて、中国との決勝の舞台に臨む。「最高の3人で、あさって(7日)、また頑張ります」と福原は気合を入れた。ここまで来たら、目指すものは一つ。それは黄金の輝きだ。

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2012年8月7日のニュース