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条治「大丈夫」スタート練習全力2本で復調!

[ 2010年2月11日 06:00 ]

スタート練習する加藤条治

 スピードスケート男子500メートルのメダル候補、加藤条治(25=日本電産サンキョー)が9日、予定を変更して緊急氷上練習を行った。本番会場の五輪オーバルで、不調が続くスタートの練習だけを行い、15日の本番レースに向けて問題点を修正。自然体で臨む以前のスタイルに戻すことで、悩める日本のエースは手応えをつかんだ。

 前日の記録会に出場した長島ら他の選手たちが休養を取る中、加藤だけがリンクに現れた。「きのうは(途中棄権で)レースをしていないので、軽く滑ろうかなと思った」。ウオーミングアップの後、2本だけ全力でスタート練習を行った。
 記録会ではスタート直後の数歩が外側に流れて、バランスを崩すミスを犯し、途中でレースをやめた。1月末にカルガリーで行われた記録会に続いて、同じ失敗を繰り返した結果だった。だが、この日は1歩目からしっかり氷をとらえた。1本目は約30メートル、2本目は約70メートルまでしっかり加速を確認し、練習を切り上げた。
 500メートルはスタートの出来がタイムに大きく影響する。加藤はそのことを意識し過ぎるあまり、神経過敏になっていた。今村俊明コーチは「W杯で勝った時も、100%で決まったことはない。8~9割で良しとしなければいけないところで、100%を求めていた」と分析する。構えた時の、軸足となる右足の微妙な開き具合に悩んできたが「考え過ぎていたので、すーっと入るようにした」(同コーチ)と、その時の感覚だけに頼って右足をセットする以前の自然体の構えに戻した。
 周囲もメダル候補の不調を心配していた。視察に来た日本選手団の橋本聖子団長はアドバイスこそしなかったが、自らビデオでチェック。ライバルでもあるカナダのモリソンは「ジョージはカルガリーでも調子が悪そうだったけれど、どうしたんだ?」と日本の報道陣に逆取材するほどで、海外勢にも不振は伝わっていた。
 金メダル候補と期待されたトリノ五輪では年末にひいた風邪の回復に苦しんで6位に終わった。二度と準備不足で不完全燃焼に終わりたくはない。10日の記録会には出場しないため、実戦でテストする機会はもうないが、加藤は「きょうは失敗していないので、多分大丈夫だと思う」と何とか復調の糸口をつかんだ様子。短時間で修正が利く柔軟性もまた加藤の強みだ。

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2010年2月11日のニュース