熊沢 55歳笑顔あふれる引退式「生まれ変わったとしても騎手の道」

[ 2023年11月12日 05:17 ]

花束を掲げる熊沢(撮影・亀井直樹)
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 笑顔があふれる引退式だった。11日付で騎手免許を取り消し、現役を引退した熊沢重文(55)の引退式が11日、京都競馬場で全レース終了後に行われた。

 91年有馬記念で14番人気Vを飾ったダイユウサクの勝負服で登場。ウイナーズサークルに集まったファンは大きな拍手で迎え「熊ちゃん、ありがとう」「お疲れさまでしたー!」と熱い声援を送った。

 86年に騎手デビュー。88年オークス(コスモドリーム)、05年阪神JF(テイエムプリキュア)、12年中山大障害(マーベラスカイザー)を合わせ、G1を4勝した。「馬のことを知らないところからこの世界に入り、ここまで続けてこられました。騎乗依頼をくださった厩舎スタッフや馬主の方々に支えてもらい、本当に感謝しかありません。やり残したことはなく、気持ち良く終えることができました」とすがすがしい表情で思いを伝えた。

 二刀流ジョッキーとして常にケガとの闘い。休養を強いられ、心が折れそうになっても厩舎スタッフやファンの「頑張ってください」の声に背中を押された。

 この日は8R・京都ジャンプSで誘導馬にサプライズ騎乗、全馬が完走するのを見届け、レース後にはプレゼンターも務めた。「ジョッキーの時とは違う景色でしたね」と穏やかな表情。「もっと乗り続けたいと思ったけど昨年、小倉で落馬し、首を骨折。命にも関わる大ケガでドクターストップとなり、ムチを置くことを決意しました。馬に乗ること、勝負の世界にいることが大好き。生まれ変わったとしても騎手の道を選ぶと思います」としみじみ。今後については「ゆっくり時間をかけて考えたい」とし、鉄人はターフに別れを告げた。

 ◇熊沢 重文(くまざわ・しげふみ)1968年(昭43)1月25日生まれ、愛知県出身の55歳。86年、栗東・内藤繁春厩舎所属で騎手デビュー。15年に史上初の平地&障害ダブル200勝を達成。21年に障害通算255勝目を挙げ、障害最多勝記録を更新した。JRA通算1万5222戦1051勝(平地794勝、障害257勝)、うちG1・4勝を含む重賞33勝。1メートル53、53キロ。血液型O。

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