ヒシミラクル “ミラクル”馬券のお礼に途切れぬファン、24歳とは思えない若々しさ

[ 2023年8月16日 05:05 ]

田井秀一のあの名馬は今(2)

中村雅明牧場で余生を過ごすヒシミラクル
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 あの馬は今――。東京本社の田井秀一記者(30)が、かつてターフを沸かせた引退名馬を訪ねる全4回の連載企画「田井秀一のあの名馬は今」。第2回はサッカーボーイ産駒の“個性派”ヒシミラクル。北海道浦河町にある、けい養先の中村雅明牧場を訪問した。

 場所は新冠町から浦河町へ。自然豊かな馬産地の一角、中村雅明牧場の放牧地で真っ白な馬体を披露してくれたのはヒシミラクルです。「シャンプーで奇麗にしておきました」と中村雅明さん。おめかしして待っていてくれました。

 奇跡の連続だったミラクルの現役生活。デビューから9連敗を喫し、「ダメなら地方転出」も視野に入っていた10戦目に初勝利。同世代の馬たちが頂点を争ったダービー(02年タニノギムレットV)の当日でした。菊花賞出走を懸けて挑んだ神戸新聞杯で6着に敗れましたが、「佐山調教師が勝手にクラシック追加登録しちゃった」そう。運を味方に抽選(8分の3)を突破し、10番人気の低評価を覆して見事優勝。奇跡的なクラシック制覇でした。翌年連勝した天皇賞・春は7番人気、宝塚記念も6番人気。頭が上がらない穴党の方もいるのでは?

 24歳とは到底思えない若々しさを保つミラクル。繁殖シーズンには当て馬の仕事に励みます。「種付けの効率を上げてくれるありがたい存在です。牧場に来た当初は怪獣みたいでしたが、今は落ち着いています。去勢せず、欲を一つ奪っていないことが若さの秘訣(ひけつ)かもしれません」。前回取り上げたメイショウドトウが引退馬支援活動の“顔”の役割を担っていたように、ミラクルもまた牧場にとって欠かせない存在として今を生きています。

 余談ですが、取材中、馬房からは今年入厩したての功労馬アオイシンゴの鳴き声がやみませんでした。兄貴分のミラクルを記者に奪われて寂しかったのでしょうか。「ミラクルの姿が見えなくなると心細くなって呼ぶんです。2頭はいい関係を築けていると思います」。後輩に頼られる先輩。きっと、ミラクルはいいヤツなんでしょうね。

 衝撃の春2冠から20年。人気は衰え知らずで、今も見学に訪れるファンは多いそうです。「当時馬券が的中した方が感謝を伝えにわざわざ会いに来ることもあります。話題になった“ミラクルおじさん”ではなさそうでしたけど(笑い)」。思い出のサラブレッドに「ありがとう」をじかに伝えられたファンの喜びは筆舌に尽くしがたいものでしょう。皆さんも、大好きなあの馬といつか再会するために…競走馬の“その後”について思いをはせてみてください。 (次回は23日)

 ◆ヒシミラクル 父サッカーボーイ 母シュンサクヨシコ(母の父シェイディハイツ)99年3月31日生まれ 牡24歳 栗東・佐山優厩舎所属 馬主・阿部雅一郎氏 生産者・大塚牧場 戦績28戦6勝(重賞3勝) 総獲得賞金5億1498万9000円 プール調教が大の苦手。意外にも!?1番人気に支持されたレースの馬券圏内率100%。身に着けている水色の頭絡はファンからの贈り物。

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