【オークス】リバティアイランド95点 古今無双の切れ味で樫の女王決戦も一刀両断

[ 2023年5月16日 05:30 ]

鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

リバティアイランド
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 マイラー体形でも牝馬2冠当確!鈴木康弘元調教師(79)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第84回オークス(21日、東京)では桜花賞馬リバティアイランドをトップ採点した。未経験の2400メートルが課題になるが、達眼が捉えたのは距離克服を可能にする桜花賞以上の落ち着きと完成度。古今無双の切れ味で樫の女王決戦も一刀両断だ。 

 リバティアイランドの馬体を10人の目利きに見せれば、おそらく全員がマイラーだと言うでしょう。とても3歳牝馬とは思えない筋肉の圧倒的なボリューム。全身の筋肉が岩のように隆起しています。特にトモと首の付け根が凄い。鋼のように強い筋肉が一層厚みを増しているせいで背中が短く見えるほどです。中長距離仕様の柔らかい筋肉を身につけたライトクオンタム、馬体のつくりに遊びがあるペリファーニアとは対照的なマイラー体形。中長距離馬にはこれほど強くて分厚い瞬発系の筋肉はつかないものです。

 桜花賞では絶望的な後方の位置から大外一気。NHK大河ドラマ「どうする家康」にちなんで徳川家康が所持した名刀に例えれば、古今無双の切れ味を持つ「村正」。切れ過ぎたため妖刀と恐れられたといいます。強過ぎる筋肉が生み出す切れ過ぎる末脚。マイルから2400メートルに替わっても村正の切れを発揮できるか。

 思案を巡らせながら桜花賞時の写真と見比べると…。顔つきが穏やかになったこと分かります。鼻の穴を大きく見せた闘志みなぎる顔からゆったりとハミを取る余裕の顔へ。四肢の力みも取れて、気持ち良さそうに立っています。どの馬よりも気性の安定がうかがえる立ち姿。今の精神状態ならオークスのゆったりとした流れにも対応できるでしょう。完璧に折り合えれば、一刀両断の末脚を再び引き出せるのではないか。

 完成度、成長度はライバルを圧倒しています。キ甲(首と背中の間のふくらみ)が古馬と見まがうほど大きくて高い。トモや首の付け根の筋肉に加えて腹周りにもボリュームが増しています。キ甲が抜けていないライトクオンタム、トモに緩さが残るペリファーニアより年上なのかと錯覚しそうになるほどたくましい。前腕とスネの筋肉には血管がうっすらと浮き出ています。鍛え抜かれた村正の地鉄(地肌)のように鍛錬された前後肢。桜花賞以上の出来です。

 前髪を編んできたのもリバティアイランドだけ。名牝の正装に映ります。距離の壁を突破する絶対能力。その馬体を10人の目利きに見せれば、おそらく全員が最強牝馬だと言うでしょう。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の79歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~2004年に日本調教師会会長。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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