【マイルCS】ダノンザキッド100点 昨年とは一変したボリューム感あふれる体つき

[ 2022年11月15日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

ダノンザキッド
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 健やかに成長したキッド(子供)に満点の七五三祝いだ。鈴木康弘元調教師(78)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第39回マイルCS(20日、阪神)ではダノンザキッドに唯一、100点満点をつけた。達眼が捉えたのは昨年(3着)とは一変したボリューム感あふれる体つき。数え年で5歳(現4歳)の秋を迎えた男馬が七五三シーズンの主役だ。 

 子供の健やかな成長を祝う七五三の季節です。秋の穏やかな陽気に誘われて、つくば市内の自宅から散歩がてら紅葉真っ盛りの筑波山まで足を延ばした先週末。ふもとの筑波山神社は晴れ着姿の女の子や羽織袴(はかま)の男の子を連れた家族でにぎわっていました。

 七五三の由来は江戸時代に行われていた数え年3歳の「髪置き」(主に女児が髪を伸ばし始める儀式)、数え年5歳の「袴着」(男児が袴を着用し始める儀式)、数え年7歳の「帯解き」(女児が大人と同じ幅の広い帯を結び始める儀式)。私が子供の時分も数え年で3歳、7歳の女子と5歳の男子を祝う行事でした。今は満年齢が主流ですが、千歳飴(ちとせあめ)の長い袋を手に緊張しながら記念撮影に納まる姿は昔と変わりません。

 数え年で表記した昔の馬齢なら5歳(現4歳)の牡馬ダノンザキッドも緊張した顔でフレームに納まっています。七五三を迎えたキッド(子供)のように…。ひょっとして子供の成長祈願を込めた縁起物の千歳飴をこっそり食べたのか、この一年で見違えるほど成長しています。

 昨年のマイルCS(3着)時の馬体診断では辛口の寸評をつけました。「筋肉量の豊富な馬ですが、今回は背中と腰、ヒ腹が少し寂しく映ります。立ち姿には古馬のような余裕が感じられますが、まだ首差しが抜けていません。毛ヅヤももう少し欲しい」。それから1年、寂しかった背中と腰、ヒ腹にはボリューム感が出ています。特に腹周りはたくましくなった。首差しも抜けて安定しています。トモの分厚い筋肉パワーを推進力に換える大人のボディーに進化した。この時季だけに被毛は少し長めですが、昨年のマイルCS時に比べれば毛ヅヤもさえています。

 数え年で5歳秋を迎えたキッドの急成長。昨年のマイルCS時の馬体診断では75点にとどめましたが、今回は…。11月15日の七五三祝い代わりに100点満点を贈ります。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の78歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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2022年11月15日のニュース