【札幌記念】ジャックドール 新境地V!逃げなくても強い、好位抜け出し重賞2勝目 秋の盾獲りへ

[ 2022年8月22日 05:20 ]

<札幌11R・札幌記念>パンサラッサ(左)などG1馬5頭を撃破したジャックドール。鞍上の藤岡佑は会心のガッツポーズ(撮影・高橋茂夫)
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 北の大地が誇るスーパーG2「第58回札幌記念」が21日に札幌競馬場で行われ、3番人気ジャックドールが4番手追走から抜け出し重賞2勝目。大目標である天皇賞・秋(10月30日、東京)へ視界良好だ。

 G1馬5頭を引き連れ、真っ先にゴール板を駆け抜けたジャックドールを迎えたのはG1級の大喝采。藤岡佑が馬上で両手を突き上げると、札幌競馬場は万雷の拍手に包まれた。史上初の白毛対決に、ファンの心をつかんだ逃げ馬2頭の激突。「いいメンバー、いいレースだった。G1だって勝てる素質がある」。世紀の一戦を制した鞍上は興奮を隠しきれなかった。

 超がつく消耗戦だった。戦前の予想通り、パンサラッサが逃げを打つ。同じ矢作厩舎ユニコーンライオンが番手を確保。ジャックドールはその後ろになった。「思っていた通りの展開になった」と振り返る藤岡佑だが、手綱から伝わる手応えだけが唯一の誤算だった。「考えていたよりジャックドール自身の折り合いがピタッとついた。力みすぎず、抜けすぎず。その誤算が勝因だったと思う」

 パンサラッサが刻んだ洋芝での前半59秒5のラップは後続の体力を削った。後半5Fは61秒7。直線は現役屈指の逃げ馬2頭の一騎打ちになった。「他の馬の手応えを見てもらえれば分かるように凄くタフなレース。正直、余力はなかったが、一度出た首差を必死に守ってくれた。本当に馬が頑張った」。叩き合いを制した相棒をねぎらう笑顔が心底うれしそうだった。

 デビューから11戦、2000メートルを使い続けてきた。どこが大目標かは明白。胸を張って天皇賞・秋に向かう。ホッとした表情で人馬を迎えた藤岡師は「緩い馬場、8キロ増の余裕がある体でも勝ちきってくれた。間隔を空ければ必ず応えてくれる馬なので、前哨戦にここを選んだ。得意の左回りならもっとパフォーマンスは上がる」。その言葉には自信がにじむ。見る者を魅了する天性のスピードから「“音速の貴公子”サイレンススズカの再来」と呼ばれてきたジャックドール。圧倒的な逃げ脚だけではない新たな武器を身につけ、宿願である秋の盾獲りは、もう目の前だ。

 ◆ジャックドール 父モーリス 母ラヴァリーノ(母の父アンブライドルズソング)18年4月8日生まれ 牡4歳 栗東・藤岡厩舎所属 馬主・前原敏行氏 生産者・北海道日高町のクラウン日高牧場 戦績11戦7勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億3864万円 馬名の由来は人名より+黄金(フランス語)。

 【札幌記念アラカルト】

 ☆騎手&調教師=藤岡佑のJRA重賞制覇は毎日杯(ピースオブエイト)以来で今年3勝目、通算43勝目。藤岡師のJRA重賞Vは金鯱賞(ジャックドール)以来で今年2勝目、通算15勝目。

 ☆種牡馬=モーリス産駒のJRA重賞制覇はレパードS(カフジオクタゴン)以来で今年4勝目、通算8勝目。モーリスは16年札幌記念で2着に敗れており、父の雪辱となった。

 ☆所属別=関西馬は昨年ソダシに続く2年連続の勝利。通算成績は関西馬34勝、関東馬24勝。

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2022年8月22日のニュース