【有馬記念】鹿戸師エフフォーリアで“師匠”藤沢和師に並ぶ

[ 2021年12月24日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】02、03年と有馬記念(G1)を連覇したのがシンボリクリスエス。さらに翌04年に優勝したのはゼンノロブロイ。いずれも後の1500勝トレーナー・藤沢和雄調教師が管理する馬だった。

 「さすが藤沢先生。凄いなあと思いました」

 そう語るのは鹿戸雄一調教師。当時は騎手で、藤沢厩舎の調教にもたびたび騎乗。ゼンノロブロイが英国インターナショナルS(G1)に挑戦した際は藤沢和師から指名を受け、約1カ月、現地で調教に乗り続けた。

 そんな鹿戸騎手は07年に調教師免許を取得。08年に開業するとスクリーンヒーローでジャパンC(G1)を優勝。その後はなかなかG1に手の届かない日々が続いたが、13年後の今年、ついに長いトンネルを抜けた。それがエフフォーリアでの皐月賞(G1)勝ちだった。

 「レースが終わった晩に藤沢先生から電話をいただきました。“良かったな”というくらいの短い会話でしたけど、うれしかったです」

 そのエフフォーリアを秋には3歳同士のクラシック・菊花賞(G1)ではなく、天皇賞・秋(G1)へ送り込んだ。87年に3歳馬に再び門戸の開かれた同レースだが、その後、3歳の身で古馬を撃破して優勝した馬はわずかに2頭。にもかかわらず、果敢に挑戦させると見事に優勝してみせた。3歳で2000メートルの天皇賞を制したのはこれが3頭目だが、過去の2頭はバブルガムフェローとシンボリクリスエスといういずれも藤沢和師が管理した馬。伝説のこの調教師以外では初めての偉業達成となったわけだ。ちなみにエフフォーリアが勝った天皇賞の2着馬は前年の無敗の3冠馬で直後にジャパンC(G1)を勝つコントレイルで、3着が名マイラー・グランアレグリア。こちらは藤沢和厩舎の馬で、鹿戸師としては来年2月に定年を迎える伯楽に恩返しができたと言える勝利になった。

 さて、そのエフフォーリアが今週の有馬記念に出走する。シン
ボリクリスエス以来となる3歳での天皇賞とグランプリの制覇ができるだろうか。藤沢和師もきっと注目していることだろう。 (フリーライター)

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2021年12月24日のニュース