「TTG」のような“伝説の一戦”を期待

[ 2021年1月29日 05:30 ]

77年の有馬記念をテンポイントで制した鹿戸騎手(当時)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】年が明け早くも1月が終わりそうだが、今から半世紀近く昔の1976年1月31日、後に“伝説の一戦”と呼ばれるレースがあった。舞台は東京競馬場の芝1400メートル。ここでタイエンジェルという馬に騎乗していたのは鹿戸明騎手(当時)。後に調教師となった彼に話を伺ったことがあった。

 「最初から話題になっていた馬がいて、実際、その馬のスピードに全く追いつけませんでした」

 “その馬”とはやがて“天馬”と呼ばれるトウショウボーイ。その新馬戦が“伝説の一戦”となった。天馬の他にグリーングラスやシービークインが出走していたからだ。前者は後に菊花賞や天皇賞・春を勝ち、トウショウボーイのライバルになった。後者は繁殖に上がった後、トウショウボーイとの間に子を宿した。それがシンザン以来19年ぶりの3冠馬となるミスターシービーだった。

 鹿戸元騎手は関西所属。交通網が整備されていなかったこの頃は、東西の競馬に現在ほどの交流はなかった。そんな中、鹿戸元騎手がデビュー前のトウショウボーイの噂を耳にしていたのには理由があった。皐月賞、日本ダービーと続く関東でのクラシック戦線を狙う1頭の関西馬が年明けの1月には関東入り。そのままダービーが終わるまで滞在を続ける予定でいた。鹿戸元騎手はその
馬と共に関東に滞在していたのだ。

 「その馬こそがテンポイントでした」

 同世代のトウショウボーイ、グリーングラスと共にTTGと呼ばれた3強時代をつくった名馬である。3強が一緒に走ったレースは3回。全て3頭で上位を独占し、それぞれが1勝ずつ。同世代にもかかわらず3頭が皆、有馬記念を勝ったのも衝撃的で中学生だった私も興奮したのを覚えている。

 3強というとアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトで決着した昨年のジャパンCも好レースだった。アーモンドアイ以外の2頭は今年も現役で、クロノジェネシスやグランアレグリアと対決する場面があるかもしれない。TTGのような好勝負を期待したい。 (フリーライター)

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