競走馬「モーニングルーティン」を調査!トレセンは“サラブレッドファースト”とにかく早い朝

[ 2020年7月21日 05:30 ]

夏競馬の自由研究

高橋文厩舎のウォーキングマシン
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 競走馬がレース当週に追い切りをすることは競馬ファンの方ならご存じだろう。しかし、追い切り前後や普段はどんな“時間割”で生活を送っているのかを知ることは難しい。厩舎によっては、さまざまなルーティンも存在する。そこで今回の「夏競馬の自由研究」では、YouTubeなどで流行している「モーニングルーティン(朝の習慣を時間軸で見るもの)」風に競走馬と、関係者の動きを調査してみた。

 人間の「モーニングルーティン」は出勤前などの準備がメイン。しかし、競走馬は朝が活動時間だ。競馬界の朝はとにかく早い。馬場開門が冬は7時、春・秋は6時へ。6月下旬からは5時となる。寒さに強く、暑さに弱い競走馬に合わせ、この時間帯に定められている。美浦トレセンでは冬は気温がマイナスになることもあり寒い。普通は長袖を着るが、江田照はいつも半袖で調教するのが印象的。直撃すると「寒くないよ」と言うが、実際はかなり寒い。一方夏は朝でも人間が汗をかくくらい暑い…。今の馬場は5時開門だが、すぐに追い切る馬もいれば、6、7時台に行う馬もいる。今回は追い切り日の5時に馬場入りする場合の競走馬の「モーニングルーティン」を紹介したい。

 競走馬はだいたい朝2時半~3時に起床。物音で起きる馬もいれば、そうでない馬は厩務員さんが起こす。3時ごろから少量のご飯(カイバ)タイム。4時から鞍をつけ厩舎を出発。厩舎周りや森林馬道といわれるトレセン内の林道を散歩し追い切りを行う馬場へ向かう。厩舎によっては、ウオーキングマシンを使って、軽めの運動をすることも。高橋文厩舎では厩舎の真ん中に設置されたウオーキングマシンで、時速7キロの速さで20分くらいランニングをするのがルーティン。

 5時に開門された馬場へ入ると、角馬場といわれるコースの内側にいくつかあるサークル内で30分ほど軽めの運動を行う。アーモンドアイなどを管理する国枝厩舎はほとんどの馬がシャドーロールを着用。これは「見やすいから」と師。確かに美浦では100近くの厩舎があり、多くの馬がいる馬場では見分けやすい。国枝厩舎の馬は角馬場で整列するのがルーティンでもある。これは「馬に行儀を教え、メリハリをつけさせるため」という。他厩舎でも見かけることもあるが、米国では主流といわれている。

 いよいよ5時半から追い切り。順番に並び次々にスタート。終了後は馬場を出て、待ち構える調教師が歩様などをチェックし、厩舎へ戻る。実は馬場での滞在時間は1時間弱。厩舎周りなどでクールダウンの運動後に、厩舎の洗い場で馬装を外して水浴びタイム。夏は発汗して20キロくらい減量する馬もいるそうだ。7時にはご飯タイムだ。馬は草食動物で本来の主食は草。しかし、競走馬は激しい運動を行うので草に加え、疲労回復効果のある大豆脱脂や燕麦(えんばく)なども与える。さらに、アスリートさながらプロテインだって飲む。厩舎によって、また馬ごとに、その日の状態などを考え配合などは変える。食事は1日3食で合計10キロ以上を食べる。

 その後は自由時間。寝る馬もいれば、寝ない馬もいてさまざま。午後は人間と同じようにマッサージなどで疲れた体をケア。磁気治療器を貼って凝りをほぐす馬もいる。追い切り自体はたった数分だが、入念な準備運動をし、疲労回復にも徹底を期している。

 今回調べた「モーニングルーティン」を通して競走馬も真のアスリートだということがよく分かった。

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