【天皇賞・春】ルメール 8大競走制覇!史上3人目の偉業

[ 2019年4月29日 05:30 ]

<天皇賞・春>8大競走制覇にガッツポーズのルメール(上)(撮影・亀井 直樹)
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 また大記録達成だ。平成最後のG1「第159回天皇賞・春」は昨年の菊花賞馬フィエールマンが優勝。鞍上のクリストフ・ルメール(39)は保田隆芳(故人)、武豊(50)に続く、史上3人目の8大競走完全制覇を達成。3度目のJRA・G1騎乗機会3連勝となった。また、ディープインパクト産駒も同時に8大競走制覇を達成。平成を代表する名騎手と名馬が、偉業と共にラストG1を飾った。

 平成を締めくくったのは、やはりこの男だった。クリストフ・ルメール。コンビ3戦目となった相棒フィエールマンと人馬一体の好騎乗。序盤は中団で折り合いに専念。ペースが遅いとみるや、2周目の向正面で一気に仕掛けた。4角で先頭を奪うと、直線は追ってきたグローリーヴェイズとの追い比べ。抜かせない。きっちり首差で抑え、ゴールに飛び込んだ。「ずっとリラックスして走っていた。3~4角は馬が走りたいという気持ちで、自分で動いていった。少し後ろ脚が滑ったが、すぐにバランスを取り戻した。直線は外から戸崎さんが来て激しい戦いになったが、よく頑張ってくれました」。すっかり定位置となったお立ち台で、ルメールは気持ち良さそうに汗を拭った。

 春の盾は初制覇。保田隆芳(故人)、武豊に次ぐ史上3人目の8大競走完全制覇となった。昭和の殿堂ホースマンが30年、平成のミスター競馬が10年かけて達成した大記録。そんな偉業を15年のJRA通年免許取得から、わずか4年で成し遂げた。フィエールマンの最終追い後、ルメールは流ちょうな日本語で語った。「日本人にとって天皇賞は特別なレース。平成最後で勝ちたいね」。身も心も日本人となったパリジャンは盾の重み、時代の節目も十分に感じ取り、自らの手で栄光をつかみ取った。

 まだ23歳だった02年暮れに短期免許で初来日。G1初制覇は05年有馬記念。ハーツクライで当時の最強馬ディープインパクトを破った好騎乗は、平成の名シーンに数えられる。その後も日本での騎乗を続け、ついには通年免許を取得。17年には外国人騎手初のリーディングを獲得。昨年は武豊の年間最多勝記録を更新する215勝をマークした。その手綱は流れに応じて変幻自在。レイデオロで制した17年ダービーでは、向正面から一気にまくる大胆騎乗でファンを沸かせた。今回の早め進出しかり。それまで脚質にとらわれがちだった日本競馬の概念を、根底から覆した。

 グランアレグリアの桜花賞、サートゥルナーリアの皐月賞に続き、これで自身3度目のJRA・G1騎乗機会3連勝。「全部1番人気の素晴らしい馬。ミスしなくてよかった」とおどけたルメール。平成末期に出現したフランス生まれのジャパニーズジョッキー。時代の寵児(ちょうじ)となった男は、令和となっても日本競馬の頂点に君臨し続ける。

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