【天皇賞・秋】レイデオロ復活V!“G1馬7頭決戦”を一蹴

[ 2018年10月29日 05:30 ]

<天皇賞・秋>優勝したレイデオロ。鞍上のルメール騎手はガッツポーズ(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 これがダービー馬の真骨頂だ。G1馬7頭がそろった伝統の一戦「第158回天皇賞・秋」が28日、東京競馬場で行われ、2番人気レイデオロが快勝。17年ダービー以来となるG1・2勝目を飾り、1着賞金1億5000万円を手にした。管理する藤沢和雄師(67)は96年、02〜04年(3連覇)、14年に次いで6勝目。鞍上のクリストフ・ルメール(39)は秋華賞(アーモンドアイ)、菊花賞(フィエールマン)に続く3週連続のG1制覇。年間最多タイの今年6勝目となった。

 直線坂下。余裕十分の脚色で逃げ切りを図るキセキ目がけ、ライバル馬の鞍上のアクションが激しくなる。ただ1人、レイデオロの馬上でルメールだけが冷静だった。自信がそうさせた。坂を上り始め、残り400メートルを過ぎてから、まずは右ムチ3発。内で食い下がるアルアインを競り落とす。そこからさらに右ムチ4発。残り50メートルでキセキを捉えたところで馬も苦しくなった。やや内にモタれた瞬間、ステッキを左手に持ち替え、激励の2発。これが第84代ダービー馬の底力。外から追いすがるサングレーザーに馬体を併せることすら許さず、1馬身1/4差で突き放しての完勝だ。

 「コンディションもレースも完璧。強かったね」。レイデオロのポテンシャルを信じたルメールの好騎乗。殊勲の愛馬と鞍上を藤沢和師は満面の笑みで出迎えた。「体調が良かったし、馬がいつになくやる気になっていた。今日はうまくいく気がしていた。直線も大丈夫だろうと思って見ていたよ」。1週前追いでは加速がつかず、ゴール後に鞍上が下馬するアクシデントもあった。「みんなに心配をかけたが影響はなかった」。そう振り返った師だが「さすがにゴールの瞬間は安心したよ」と本音も漏れた。

 レースで全力を出し切るレイデオロ。その分、ダメージも大きい。2歳暮れのホープフルSから皐月賞に直行。今年3月のドバイ遠征後、春シーズンを全休。馬の回復を何よりも最優先した。「今の競走馬は鍛えなくてもコンディションさえ整えば走る。特にレイデオロは何もしなくても勝手に走るんだ」。馬優先主義を突き詰めた藤沢和流。「鍛えすぎればピークは長くは続かない」。攻めたい気持ちを抑え、馬の気持ちに寄り添った調教を重ね、6度目の秋の盾制覇という偉業を達成した。

 気になる次走についてトレーナーは「年内使うならもう1戦」と明言した。当然、ジャパンC(11月25日、東京)か有馬記念(12月23日、中山)だが、JCにはルメールが主戦を務めるアーモンドアイの参戦が有力。回復にしっかり時間を取るこれまでの方針から、グランプリに絞る可能性が高い。来年は再び海外遠征のプランもある。「オーナーは来年も走るところが見たいって言うから。いずれにせよ馬の状態を確認してから。私もそんなに先がないから頑張りますよ」。22年2月に70歳定年を迎える、平成を代表する名トレーナー。馬優先主義。その信念は揺るがない。

 ◆レイデオロ 父キングカメハメハ 母ラドラーダ(母の父シンボリクリスエス)牡4歳 美浦・藤沢和雄厩舎 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績11戦7勝(うち海外1戦0勝)総獲得賞金7億6936万700円。

続きを表示

この記事のフォト

2018年10月29日のニュース