【安田記念】ロゴタイプ復活V!信じて待ったG1勝利ブランク史上2位

[ 2016年6月6日 05:30 ]

レースを制したロゴタイプ。鞍上の田辺裕信はド派手にガッツポーズ

 長いトンネルの先に復活の祝福が待っていた。「第66回安田記念」が5日、東京競馬場で行われ、8番人気の田辺騎乗ロゴタイプが鮮やかな逃げ切り。13年皐月賞以来17戦ぶりの勝利を飾った。G1馬の3年1カ月ぶりG1優勝はアドマイヤコジーンに次ぐ史上2位の記録。同レースでは88年ニッポーテイオー以来の逃げ切りでクラシックホースの復権を果たした。

【レース結果】

 脱鞍所の周りにできた二重三重の祝福の輪。その真ん中で田中剛師が顔を紅潮させている。「復活、おめでとう!」。馬主や生産者、調教師仲間から絶え間なく求められる握手。万感の思いを込めて真っ赤になった両手で握り返した。「直線で机をバンバン叩き過ぎちゃって…」。ロゴタイプが3年1カ月ぶりに1着馬の脱鞍所に入る。自ら付きっきりで稽古役も担当してきたトレーナーは込み上げる思いを押し殺すように強く唇をかみしめ、汗の滴る黒鹿毛の肩を優しく拭った。

 「見えない壁が立ちはだかっていたみたいだった」。師が実感を込める17戦ぶりのVゴール。3年前の皐月賞馬は忘れかけた栄光を呼び戻すように逃げた。直線で田辺のこん身のステッキが飛ぶ。7連勝中のモーリスを1馬身1/4振り切った。「着を拾うのではなく勝つにはどうしたらいいか…逃げは作戦の一つだった。先生(田中剛師)も負けてもいいから思い切って行ってくれと…。大きな賭けだったが、強い馬たちと一緒に動いても切れ負けする。ならばスタートの良さを生かそうと…」。3度目のコンビとなった田辺は会心の笑みを浮かべて振り返る。「人気薄でノーマーク、何も絡んでこなかった。道中は単走の追い切りみたいな走り。直線坂上でも差が詰まらなかったのでいける!と…」。直線で馬場の外めから追走した後続馬群とは対照的に内ラチ沿いを逃げるファインプレー。「見た目ほど悪くないからあえて内を選んだ。でも、偉いのはロゴタイプですよ。G1の大歓声を受けても変わらないのが凄い」

 連敗の山を築いても腹の据わったG1ホースだった。「ずっと頑張ってきたのに“終わった馬”なんて言われて…。いつかまたG1を勝てる日が来ると信じていた」と田中剛師。3年間は苦労の連続だった。手綱を替え、チークピーシーズなど特殊馬具を用いても勝利を呼び込めない。ダート(15年根岸S8着)に転じても結果を出せない。「前走(ダービー卿CT2着)時には何とかしようと、調教中にステッキで闘魂注入。それから動けるようになってきた。でも、一番の勝因は6歳春まで無事でいてくれたことです」(同師)

 G1馬の栄光を取り戻した無事これ名馬。「実は今日勝てると思ってなかったので次は中京記念に行こうかと…。もちろん、考え直さないと…」。復活に懸けてきたホースマンの3年分の笑顔だった。

 ◆ロゴタイプ 父ローエングリン 母ステレオタイプ(母の父サンデーサイレンス)牡6歳 美浦・田中剛厩舎所属 馬主・吉田照哉氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績25戦6勝(うち海外1戦0勝) 総獲得賞金5億2025万2100円(うち海外1045万7100円。)

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