菜七子の師匠が語る“ダービー攻略法”焦らず「4角回って1、2、3」

[ 2016年5月29日 09:20 ]

師匠の根本康広師(左から3人目)と握手する藤田菜七子騎手(左端)

 群雄割拠のダービー。何が明暗を分けるのか?新人女性騎手・藤田菜七子(18)の師匠で、87年ダービーをメリーナイスで制した根本康広調教師(60)に東京2400メートル攻略のポイントを聞いた。

【日本ダービー】

 ダービーとは相性が良かったんだよね。初めて騎乗した81年にハシノエースで4着だった時からそう感じていたんだけど、結局5回乗って全て人気以上の着順だったんだから。

 81年はフルゲート28頭(1頭取消)、メリーナイスで勝った87年でも24頭。多頭数の当時は1角10番手以内が「ダービーポジション」と呼ばれたけどスタートから1角までは約313メートルと十分な距離がある。「何が何でも○番手」と決めつけると馬の気持ちが乗りすぎてしまうことがあるし、フルゲート18頭の今は1角のポジションはそこまで気にしなくていい。スタートを普通に出てリラックスして走らせることを心掛ければいいんじゃないかな。

 メリーナイスの時はインのいいポジションが欲しかったから、スタート後に1回押して位置を取りにいったけど、その後は内でジッと貝になっていた。向正面のポイントは残り1340メートル~1200メートルの上り坂。最大勾配は2・21%で、直線の上り坂(同1・49%)よりもきつい。位置取りが思ったより後ろになったからといって、この上りで焦って上昇するのは禁物。ここで余分な負荷をかけると最後に響いてくる。

 直線は525・9メートル。僕らの時代は師匠から「4角を回って3つ数えてから追いだせ」と教わった。実際に「1、2、3」と数えるわけじゃないけど、そのくらいの気持ち。しっかり周囲や進路を見極めてから追いだしても東京の直線なら十分に間に合うからね。

 フルゲート18頭の今は騎手にとっては厳しい時代。ダービーに騎乗する機会を得ること自体がなかなか難しいけど、3人の弟子(丸山、野中、菜七子)にはいつかダービーに乗ってもらいたい。僕らの時代と比べれば今は海外の名ジョッキーの研究もしやすいし、ダービー騎乗を目指して腕を磨いていってもらいたいね。

 ◆根本 康広(ねもと・やすひろ)1956年(昭31)1月31日、東京都出身の60歳。77年に騎手デビュー。ギャロップダイナ(85年天皇賞・秋)、メリーナイスでG1を制覇し、中山大障害も3勝している。97年に調教師に転身し98年開業した。

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2016年5月29日のニュース