【競輪卒業記念】父は近鉄で4度盗塁王 大石JrVへかっ飛ばす

[ 2016年3月23日 05:30 ]

野球から転身し卒業チャンピオンを目指す大石

 日本競輪学校の男子109回生徒(50人)と女子第5回生徒(22人)の卒業記念レースが23、24日の2日間、静岡県伊東競輪場で行われる。男子はプロ野球・近鉄バファローズで4度の盗塁王に輝き、引退後はオリックス監督を2年(08、09年)務めた大石大二郎氏(57)の次男・崇晴(23=京都)がニューヒーロー候補。父親譲りの“快足”を武器に活躍を誓う若武者に卒業記念に懸ける意気込みを聞いた。

 父・大二郎氏の背中から、今度は父が目指した夢を追い掛ける。競輪選手を第二の人生に選んだ大石崇晴は「悔いのない走りをして優勝を目指したい」と言葉に力を込めた。

 仰木監督に率いられ、ブライアント、新井、村上、阿波野、小野らと最強近鉄を築き、俊足巧打の名手として活躍した父に憧れた。小2から野球一筋。報徳学園では10年夏の甲子園に出場(準決勝敗退)。NPBを目指しプロ野球独立リーグ、四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに2年間(12、13年)在籍した。50メートル5秒8の俊足を生かすため右打ちからスイッチヒッターにも挑戦したが「このまま野球を続けても上では通用しない」。月給20万円の厳しい生活。NPB入りを諦め、野球人生に区切りをつけた。

 「競輪選手を目指したらどうだ?」。高校時代(静岡商)に競輪選手を目指したことがある父の言葉に心が揺れた。奈良競輪場で一緒にレース観戦。「A級かS級か覚えてないが凄いまくりを決めた選手がとても格好良かった」。輪界挑戦を決意した。

 新天地で負けられない理由がある。自転車を降りれば1児のパパ。家では妻・綾恵さん(あやめ、21)、愛娘の聖莉杏ちゃん(せりあ、2)が待っている。家族と離れた1年間の学校生活は「子供の成長過程が見られずつらかった」。それでも自分で選んだ道に後悔はない。自慢のダッシュ力で在校成績は3位。「性格的に人と競うことが好き。同期に負けたくない」と表情を引き締めた。

 自身の夢を次男に託した父・大二郎氏は「崇晴は負けん気が強い性格。勝負の世界ではいいと思う。競輪では自分のスタイルを確立してほしい。子供が競輪選手になるのは楽しさ半分、どんな選手になるのか怖さ半分だよ(笑い)」とエールを送った。父のため、家族のため、そして自分のため――。バットをハンドルに持ち替えた23歳が新たな世界で頂点を目指す。

 ◆大石 崇晴(おおいし・たかはる)1992年(平4)10月2日、大阪府生まれの23歳。報徳学園で10年夏の甲子園ベスト4。城西大中退。12年四国アイランドリーグplus高知ファイティングドッグス入団も13年シーズン終了後退団。1メートル70、69キロ。血液型A。

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