【エ女王杯】シュンドルボン100点 牡馬並みのトモ、推進力生む飛節

[ 2015年11月11日 05:30 ]

シュンドルボン

 重賞初挑戦でも馬体はG1級!!今秋G1で推奨馬が4戦3勝の鈴木康弘元調教師(71)が、G1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第40回エリザベス女王杯」では条件戦3連勝中のシュンドルボンをヌーヴォレコルト、クイーンズリングとともに満点評価した。重賞初挑戦で古牝馬のG1を勝てば初の快挙。500万から階段を一気に駆け上がり、秋の女王に夢を膨らませる競馬界のシンデレラ候補だ。

【エリザベス女王杯】

 名は体を表すと言います。シュンドルボンとはベンガル語で「美しいマングローブの森」を意味するそうです。ガンジス川河口のデルタ地域に広がる世界最大規模のマングローブ森の名称だとも聞きました。エリザベス女王杯に出走するシュンドルボンもひと際スケールの大きな馬格です。ひと目見て、体の容積に圧倒されました。トモ(後肢)の筋肉は牡馬のようにせり上がり、それを推進力に替える飛節、球節にも全く狂いがない。準オープンを勝ち上がったばかりとはいえ、馬体だけはG1ホースと比べても全く遜色ありません。

 四肢に目を移すと、腱が締まっているため、しっかり浮いているように映ります。牝馬らしからぬタフな手足。波の穏やかな河口や泥深い海岸に林立するマングローブの幹のようです。こういう力強い腱を持っている馬は一般的に故障のリスクが少なく、十分に負荷を掛けられるものです。成績を振り返れば、レースを使い込みながら頭角を現してきた。条件戦から叩き上げたたくましさが馬体に表れています。

 顔を見れば、キリッとした小顔。美女ですね。馬は鼻だけで息をするため小さな鼻の穴は競走馬として好ましくありませんが、小鼻以外に減点材料は皆無です。

 毛ヅヤも良く、立ち姿からはハッピーな気分が伝わってきます。準オープンを勝ち上がったばかりでG1の流れに対応できるのか。そんな懸念を抱かせる一方、マングローブのような立派な馬体に大きな可能性も感じさせます。 (NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘 1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなどで27勝。

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