【ダービー】武豊「騎手人生に大きな意味を持つダービーでした」

[ 2013年5月27日 06:00 ]

【武豊独占手記】

 東京競馬場を埋め尽くした14万人からのコールに感激しました。久しぶりに味わう「ユタカ」の連呼。うれしかったです。あの時、キズナはどうだったのかをお伝えしましょう。驚くほどに冷静でした。僕を含め、人間は全員が熱くなっていたのに、馬は冷静そのもの。やっぱり大物です。

 単勝1番人気。ファンの心情が伝わってきました。2歳王者であり、皐月賞馬のロゴタイプを上回るのは、やはり異例でしょう。強さだけでなく、この馬が持つドラマチックな部分。その馬名や、人と人、人と馬をつなぐ絆。その部分に共鳴してくれたのではないかと思っています。

 作戦は事前に決めていました。父ディープインパクトのようなレースをする。それで届かなければ仕方ない…。ただ、少しの修正は加えました。この馬場状態では、あまり外は回れない。前半はリズムを重視しましたし、自分としては結構タイトに乗ったつもり。1枠も結果として良かったですね。

 ディープの遺伝子を受け継ぐキズナには、ディープの背中を追い続けてもらいましょう。06年凱旋門賞で負けて、帰国後に引退が決まった時、将来はディープの子で凱旋門賞にリベンジしたいと心の中で誓いました。その可能性が現実味を帯びてきました。「世界一の馬にしたい」。大きな夢を皆さんの前で2度、公言しました。

 最後に。ダービーを勝たせていただいたのは5度目ですが、僕の騎手人生にとって大きな意味を持つダービーでした。キズナに関わる全ての方、応援してくださった皆さんに心から感謝です。

 (JRA騎手)

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2013年5月27日のニュース