【NHKマイルC】シャイニープリンス 栗田博流ローテでG1獲り

[ 2013年5月1日 06:00 ]

栗田博師が送り出すシャイニープリンス

 栗田博流、必勝ローテーションが波乱を起こす。5週連続東京でのG1、その開幕を飾る「NHKマイルC」で台風の目になるのが3連勝中のシャイニープリンスだ。芝初経験の前走・橘Sを快勝。その裏には芝のG1・5勝トレーナー、栗田博憲師(64)の、経験に基づく狙いがあった。

【NHKマイルC】

 ダートで2連勝後、初芝のオープン特別を完勝してG1へ。そんな異色のローテーションを歩んだシャイニープリンスの馬体を見つめながら栗田博師が確信に満ちた表情を浮かべた。「芝向きなのは最初から分かっていた。体が固まるまでダート戦を使ってきただけだよ」と口火を切ると、「ゼファーやフォレストも同じ使い方をしたものだ」と続けた。同師が芝のG1ホースに育て上げたヤマニンゼファーはダートでデビュー2連勝。シンコウフォレストもデビューから4回連続でダート戦に出走し2連勝。「馬体が弱いうちに芝を走らせるとダメージが大きい。だから、モヤシのような体つきだったゼファーもダートでデビューさせた。成長を待って芝に挑むのが私のやり方」と言う。

 シャイニープリンスが急成長を遂げたのはダートで2勝目を挙げた後。2カ月のリフレッシュ放牧で、体つきがたくましくなったと、師の目には映った。馬体重は12キロ増。芝挑戦の機は熟した。京都の橘S(芝1400メートル)で7番人気の低評価をあざ笑うかのような差し切り。「折り合いもついて、しっかり脚をためることができた。芝でこその血統だが、このレースでマイルの距離にもメドが立った」

 父は00年高松宮記念を制したキングヘイロー。母の父は90年朝日杯3歳S(現FS)で2歳レコードを14年ぶりに塗り替えたリンドシェーバー。近親には92年毎日王冠で日本レコード勝ちしたダイタクヘリオス。芝の高速決着で威力を発揮したスピード血統を開花させてのG1参戦だ。

 「まだジョッキーが決まっていない。急いで決めないと…」と語る師だが、表情には余裕がある。「ゼファーやフォレストのように期待通り成長している。中1週でもいい感じの仕上がりになってきた」。栗田博流ローテで頂点へ。未知の魅力にあふれた3連勝中の伏兵だ。

 ◆栗田 博憲(くりた・ひろのり)1948年(昭23)11月4日、福岡県生まれの64歳。72年中山競馬場白井分場の成宮明光厩舎で調教助手。80年調教師免許を取得。81年3月22日、中山のフジノタイヨーで初勝利。87年金杯(現中山金杯)トチノニシキで重賞初制覇。85、87年優秀調教師賞。通算560勝(4月30日現在)。重賞はG15勝を含め20勝。11年に開業した栗田徹師の義父。

 ◆ヤマニンゼファー 父は名短距離馬ニホンピロウイナー。4歳の92年安田記念は11番人気ながら芝初勝利でG1初V。93年安田記念で連覇。同年の天皇賞・秋はセキテイリュウオーを鼻差抑えてG13勝目。同年JRA賞は最優秀短距離馬など3部門受賞。

 ◆シンコウフォレスト アイルランド産で、父は英G1ジュライCを制したグリーンデザート。3歳時はダートのみ3勝。4歳時の阪急杯で重賞初制覇。5歳時の高松宮記念でG1初制覇。通算29戦9勝。引退後は母国アイルランドなどで種牡馬として活躍。

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