【AJC杯】ダノンバラード 進路妨害で複雑V…新ルールに救われた

[ 2013年1月21日 06:00 ]

レースを制したダノンバラードのベリーはガッツポーズも…

 G2アメリカジョッキークラブCは20日、中山競馬場で行われ、3番人気ダノンバラードが優勝したが、直線で大きく内斜行し、後続2頭の進路を妨害。今年から適用された裁決の新ルールにより、降着とはならなかったが、不利を受けた2着トランスワープの陣営からは、1着馬降着を求める申し立ても行われ、今後に課題を残す結果となった。

【レース結果】

 ダノンバラードが先頭でゴールを駆け抜け、ベリーがド派手にガッツポーズを決めた。だが、場内の空気がいつもと違う。残り200メートルで内に切れ込み、後続のトランスワープ、ゲシュタルトの進路を妨害。トランスが大きくバランスを崩すシーンはターフビジョンの映像でも明らかだった。

 昨年までなら降着。だが、今年適用の新ルールでは「妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と認められない限り降着とはならない。審議の表示もなかった。だが、全馬入線から10分後。突如、ビジョンに「審議」の表示が。不利を受けた2着馬の陣営から“1着馬を降着にすべきとの申し立てがあり審議に入る”旨が場内放送されると、どよめきが起こった。

 約7分間の審議で申し立ては棄却され着順も確定。喜びと落胆が交錯した微妙な空気が競馬場全体を包んだ。JRA審判部の事情聴取を終えたベリーは、ガッツポーズについて「うれしくて思わずやってしまった。昨年は2度骨折し思うような結果が残せなかった。ようやく復帰できて、日本で念願の重賞を勝てたので…」と反省を口にした。

 問題のシーンについてベリーは「右にモタれるということは池江師から聞いていたので、注意して乗っていたが、後ろの馬に迷惑をかけてしまった」と神妙な表情。JRAは不注意騎乗と認定し、ベリーは開催6日間(26日~2月10日)の騎乗停止処分を受けた。

 バラードは10年ラジオNIKKEI杯2歳S以来、2年1カ月ぶりの重賞V。ベリーは「僕への制裁は仕方ないが、馬が一番強いことは認めてもらえて良かった」と安ど。池江師は「もともと素質があった馬が、ようやく立ち直った。状態を見ながら次走を考えたい」と話すにとどめ、裁決の判断についてはコメントしなかった。

 馬に罪はない。バラードにとって価値ある1勝だ。だが、新ルールを理解しつつも釈然としないファンは多かった。一部の騎手は「あれがセーフなら何でもありになる」。後味の悪さが残った。

 ◆ダノンバラード 父ディープインパクト 母レディバラード(母の父アンブライドルド)牡5歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・ダノックス 生産者・北海道新ひだか町ケイアイファーム 戦績17戦5勝 総獲得賞金2億5015万7000円。

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2013年1月21日のニュース