【JCダート】エスポワールシチー 負傷哲三に勝利贈る

[ 2012年11月27日 06:00 ]

復調気配を見せるエスポワールシチー

 今週のG1「第13回ジャパンカップダート」では3年前の覇者エスポワールシチーが復権に燃えている。最愛のパートナー・佐藤が先週土曜日の競馬で落馬負傷。大一番で騎乗できない主戦に勝利を報告すべく、スタッフ一丸となって全力仕上げで大一番に挑むつもりだ。

【JCダート】

 盟友の分まで――。雨が降る全休日の朝、エスポワールシチーを担当する森崎助手の表情は心なしか曇っていた。主戦の佐藤が先週土曜日の京都10Rで落馬負傷。大目標にしていたレースを一緒に戦えない悔しさ、もどかしさを隠すことはできなかった。

 「なんて言っていいのかな…。中央のG1を獲るチャンスは今回と来年のフェブラリーSぐらいだから、哲三さん(佐藤)もここに懸ける思いは強かった。この馬のことは隅から隅まで把握していて、一心同体という感じでしたし…。それだけにリタイアは痛いですね」

 しかしながら、いつまでも落ち込んでいられない。残り1週間となった大一番に向けて、エスポワールシチーの状態は着実に上がっている。

 「夏が弱い分、寒くなって元気が出てきましたね。気合も乗っているし、いい感じです。全盛期の頃は担当じゃなかったので詳しく分からないけれど、力強さが出てきて、ホントいい状態です。去年のJCダートよりもいい感じです」

 CWコースでの1週前追い切りはテンから行きたがったため、7F92秒7~14秒8としまいバッタリ。この時計にはさすがに苦笑いだが、「しまいだけ伸ばすよりは良かったですよ。テンからしっかり負荷をかけたかったので」と当初の目的はきっちり達成した。

 そもそも“行きたがった”こと自体が、好調のサインだ。前走後から通常の坂路に加えて角馬場での調整を取り入れているが、これが気持ちの面でいい影響を与えていると言う。

 「南部杯も相当良かったけれど、角馬場での調整を取り入れたことで、さらに気合が乗ってきたんです。先週も行きたがるのは計算の内でしたからね」

 すでに7歳。“3年前の覇者”と言ってしまえば印象は悪い。しかし前走の南部杯は4馬身差の圧勝だ。ここに来て再び充実期を迎えたと言っても過言ではないだろう。

 「ローマンにもトランセンドにも、このまま負けたままでは終われない。全部の馬を迎え撃って、全部の馬を負かしたいですね」

 そして最後にあらためて主戦への思いを口にした。

 「哲三さんがケガをして、ますます負けられない戦いになりました。勝って哲三さんに報告をしたい、哲三さんのために勝ちたいと思います」

 バトンを受け継ぐのは武豊。みんなの思いを背負った“天才”が、栄光のゴールに導くはずだ。

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2012年11月27日のニュース