【ジャパンＣ】ジェンティル歴史的Ｖも岩田「申し訳ない」

レースを制するも口取りで渋い表情の岩田

　セーフか、降着か。緊迫する検量室前。上位３頭の着順が確定したのは、発走から２３分が経過した午後４時３分だった。３歳牝馬による、史上初のジャパンＣ制覇が覆ることはなかったが、進路の取り方が強引であったとして、岩田は開催日２日間（１２月１、２日）の騎乗停止に。武豊、デットーリに並ぶジャパンＣ３勝目、今年のＧ１実に６勝目をマークしたヒーローに、最後まで笑顔はなかった。「申し訳ないとは思う。ただ、全力を出し切ったからこそ、勝つことができた。そのことについてはジェンティルドンナを褒めてやってほしい」

　古馬と初対戦となった３歳牝馬。３冠馬、凱旋門賞馬、ダービー馬。これ以上ない強力メンバー。それでも、やるべきことはただ１つ。岩田はシンプルにレースを組み立てた。「オルフェーヴルという怪物は抜きにして、この馬のベストパフォーマンスをしようと考えた。馬場は内側の状態が凄くいい。インコースが欲しかった。ベストのタイミングでゲートを出て最高の位置取り。これで負けたら仕方なかった」

　レース前日の土曜朝、外国馬の調教をじっと見つめる岩田の姿があった。連日、調教に参加し、午後も厩舎に顔を出す。そんな真しな姿勢が、Ｇ１量産につながっている。

　「ブエナビスタも凄い馬だったが、それを超えてほしい。自分はこの馬と海外に行きたいし、挑戦できる馬だと思う」。国内だけでは満足できないファイターは、早く海外へと出たくてうずうずしているようだった。