【函館記念】7歳トランスワープ重賞初出走初V

[ 2012年7月16日 06:00 ]

<函館記念>レースを制したトランスワープ(左)

 函館ラストを飾るサマー2000シリーズ第2戦「第48回函館記念」が15日に行われ、トランスワープが7歳にして重賞初出走初Vの快挙。2着にも8歳イケトップガンが入り、今年も高齢馬同士の決着となった。函館競馬場には1万4600人の観衆が詰めかけ、10年のリニューアルオープン以来の入場者数レコードとなった。

 ミッキーパンプキンの逃げ切りか。場内を埋め尽くした1万4600人の大観衆が、そう思い始めた直線残り100メートル。馬群の中から抜け出したトランスワープが、内のミッキーに並ぶ間もなく先頭に立つ。他馬が止まって見えるような加速力。馬名通り、ワープして突然視界に現れたような強烈な末脚だった。

 「想像以上の脚を使ってくれた」。手綱を取った大野も目を丸くする。道中は中団よりも後ろのグループを追走。スタンド前では「もっと前で競馬しようと思っていたので焦った…」という鞍上だが「いつも以上に馬がリラックスして走っていたので割り切ることができた」。1角では腹をくくって馬群の内で折り合いに専念。向正面半ばから進出し、3角過ぎで好位馬群の直後へ。ライバル馬が必死に手綱をしごいて仕掛けて行く中、大野だけは手綱を持ったまま。手応え抜群。この時点で勝負は決していた。

 条件戦を勝ち切れなかった馬が7歳を迎えて素質が開花。今年に入って1000万→1600万と連勝。福島のオープン2戦は足踏みしたが、確実に力をつけて初タイトルを手にした。昨夏から調教をつける大野は躍進の理由を「体質的に強くなったのが一番大きい」と話す。飛節やトモ(後肢)の緩さが出世を妨げ、4~6歳時には1年半の休養も経験したほど。我慢の調教が実った。

 「走りが力強いので函館の洋芝が合うと思っていたし、長くいい脚を使えることも知っていた。でも、きょうのようなスパッと切れる脚があることも分かった。競馬の幅が広がった」と鞍上。パートナーの新たな一面を自らの手綱で引き出したから格別だ。今後は放牧を挟み札幌記念(8月19日)か新潟記念(9月2日)を視野に入れて調整。サマー2000シリーズ総合Vを狙う。

 ◆トランスワープ 父ファルブラヴ 母ボンヌシャンス(母の父リアルシャダイ)セン7歳 美浦・萩原厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績19戦6勝 総獲得賞金1億2386万9000円。

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2012年7月16日のニュース